学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §14 感覚の生理 / QJ29A104

理由で解く 柔道整復師

QJ29A104 生理学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問104
問題
音波の伝達で耳小骨が直接振動させるのはどれか。
選択肢
1 鼓膜
2 蓋膜
3 前庭窓
4 基底膜
解答
正解3(前庭窓)
解説

耳小骨連鎖の最後にあるアブミ骨底が前庭窓(卵円窓)にはまり込み、そこを直接振動させます。正しいのは3。

外耳道を進んだ空気の振動はまず鼓膜を振動させ、鼓膜に付着するツチ骨からキヌタ骨、アブミ骨へと機械的に伝わります。アブミ骨の底板は輪状靱帯で前庭窓に固定されており、その出入り運動が内耳の外リンパを直接押し引きします。空気の振動をそのまま液体に伝えると大部分が反射して失われますが、鼓膜とアブミ骨底の面積比(およそ17〜20倍)と耳小骨のてこ比が加わることで音圧が20倍以上に増幅され、効率よく内耳へ届きます。前庭窓から入った振動は前庭階の外リンパを伝わって基底膜を波打たせ(進行波)、コルチ器の有毛細胞の感覚毛が蓋膜との間でずれることで受容器電位が生じます。押し込まれた分の圧は蝸牛窓(正円窓)の膜が外側へ膨らんで逃がします。

✓ 3. 正しい
前庭窓
アブミ骨底が直接はまり込んでいる窓で、中耳と内耳の接点です。ここが振動することで前庭階の外リンパが動き出し、内耳での音の処理が始まります。耳小骨が「直接」触れている内耳の構造はこの前庭窓だけ、と押さえてください。
✗ 1. 誤り
鼓膜
鼓膜を振動させるのは空気の振動(音波)であり、鼓膜は耳小骨より上流にあります。向きは「鼓膜 → 耳小骨」で、耳小骨に振動させられる側ではありません。伝達経路は必ず順番どおりに並べて確認する習慣をつけると、この種の引っかけを外せます。
✗ 2. 誤り
蓋膜
蓋膜はコルチ器の上に覆いかぶさる膜で、内耳の蝸牛管の中にあります。基底膜が揺れた結果として有毛細胞の感覚毛との間にずれが生じ、受容器電位を発生させる役目を担います。耳小骨とは接しておらず、経路のずっと下流に位置します。
✗ 4. 誤り
基底膜
基底膜が振動するのは、前庭窓から伝わった外リンパの動きを受けてのことです。「前庭窓 → 外リンパ → 基底膜」という順序があり、耳小骨が直接触れているわけではありません。基底膜は蝸牛底で狭く硬く、蝸牛頂で広く柔らかいため、高音は蝸牛底、低音は蝸牛頂で最大に振動します(場所説)。
ポイント
  • 伝達順:音波 → 鼓膜 → ツチ骨 → キヌタ骨 → アブミ骨 → 前庭窓 → 外リンパ → 基底膜 → コルチ器の有毛細胞。
  • アブミ骨底が前庭窓(卵円窓)にはまり、ここだけが耳小骨と内耳の直接の接点。
  • 鼓膜とアブミ骨底の面積比(約17〜20倍)とてこ比で音圧を増幅し、空気から液体への伝達損失を補う。
  • 蝸牛窓(正円窓)は圧の逃げ道。ここがあるから外リンパが動ける。
  • 高音は蝸牛底、低音は蝸牛頂で基底膜が最大に振動する(場所説)。
  • 強大音では鼓膜張筋(三叉神経支配)とアブミ骨筋(顔面神経支配)が反射的に収縮し、伝達を弱めて内耳を守る(耳小骨筋反射)。
比較表
部位何によって振動するか位置づけ
鼓膜空気の振動(音波)外耳と中耳の境。耳小骨より上流
耳小骨(ツチ→キヌタ→アブミ)鼓膜の振動中耳
前庭窓(卵円窓)アブミ骨底=耳小骨が直接中耳と内耳の境 ← 本問の答え
外リンパ前庭窓の出入り運動内耳(前庭階・鼓室階)
基底膜外リンパの振動蝸牛管の底
蓋膜基底膜の動きに対して相対的にずれるコルチ器の上
蝸牛窓(正円窓)鼓室階の外リンパの圧圧の逃げ道
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