学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §11 骨の生理 / QJ29A098

理由で解く 柔道整復師

QJ29A098 生理学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問98
問題
骨の吸収を促進するのはどれか。
選択肢
1 エストロゲン
2 カルシトニン
3 ビタミンA
4 上皮小体(副甲状腺)ホルモン
解答
正解4(上皮小体(副甲状腺)ホルモン)
解説

骨吸収を促進するのは上皮小体(副甲状腺)ホルモン、すなわちパラソルモンです。血中カルシウム濃度が下がったときに分泌され、骨を溶かしてカルシウムを血中へ動員します。

血中カルシウム濃度は狭い範囲に保たれており、その調節を担う主役がパラソルモンとカルシトニン、そして活性型ビタミンDです。血中カルシウムが低下すると上皮小体からパラソルモンが分泌され、(1)破骨細胞を活性化して骨吸収を進め、(2)腎尿細管でのカルシウム再吸収を高め、(3)腎でのビタミンDの活性化を促して腸管からのカルシウム吸収を増やす、という3方向から血中カルシウムを引き上げます。なお活性型ビタミンD自身も、腸管からの吸収を高めるだけでなく、パラソルモンと協調して骨吸収を促進し骨からカルシウムを動員します。興味深いのは、破骨細胞にはパラソルモンの受容体がなく、骨芽細胞が受け取った指令をRANKLという分子を介して破骨細胞に伝える点です(活性型ビタミンDも骨芽細胞のRANKL発現を高めて同じ経路を使います)。逆にカルシトニンは破骨細胞に直接働いて骨吸収を抑え、血中カルシウムを下げます。「上げるのはパラソルモン、下げるのはカルシトニン」と対で覚え、エストロゲンも骨吸収を抑える側だと押さえておくと、閉経後骨粗鬆症の理解につながります。

✓ 4. これが答え
上皮小体(副甲状腺)ホルモン
パラソルモンは血中カルシウム低下に応じて分泌され、骨芽細胞を介して破骨細胞を活性化し骨吸収を促進します。腎でのカルシウム再吸収とビタミンD活性化も進め、血中カルシウムを上昇させます。
✗ 1. 当てはまらない
エストロゲン
エストロゲンは破骨細胞の働きを抑え、骨吸収を抑制する方向に作用します。閉経でエストロゲンが減ると骨吸収が骨形成を上回り、骨粗鬆症をきたしやすくなります。
✗ 2. 当てはまらない
カルシトニン
甲状腺傍濾胞細胞から分泌され、破骨細胞に直接働いて骨吸収を抑制し、血中カルシウム濃度を低下させます。パラソルモンとちょうど逆の作用をもちます。
✗ 3. 当てはまらない
ビタミンA
ビタミンAは視覚のロドプシン形成や上皮の維持に関わる脂溶性ビタミンで、カルシウム代謝を日常的に調節する因子ではありません。骨に関わる脂溶性ビタミンとして押さえるべきはビタミンDで、活性型は腸管からのカルシウム吸収を促進するとともに、パラソルモンと協調して骨吸収も促進し、血中カルシウムを上昇させます。
ポイント
  • パラソルモン(上皮小体ホルモン)は骨吸収を促進し、血中カルシウム濃度を上昇させる。
  • パラソルモンの3作用:破骨細胞の活性化、腎でのカルシウム再吸収促進、ビタミンDの活性化促進。
  • 破骨細胞にPTH受容体はなく、骨芽細胞がRANKLを介して指令を伝える。
  • カルシトニンは破骨細胞を直接抑制し血中カルシウムを低下させる。パラソルモンと逆。
  • エストロゲンは骨吸収を抑制する。閉経後に減少して骨粗鬆症の原因となる。
  • 活性型ビタミンDは腸管からのカルシウム吸収を促進し、加えて骨芽細胞のRANKL発現を介して骨吸収も促進する(いずれも血中カルシウムを上昇させる方向)。ビタミンAは視覚・上皮維持が主な役割。
比較表
因子骨吸収血中カルシウム分泌部位・備考
上皮小体ホルモン(パラソルモン)促進上昇上皮小体。破骨細胞を骨芽細胞経由で活性化
カルシトニン抑制低下甲状腺傍濾胞細胞。破骨細胞を直接抑制
活性型ビタミンD促進(PTHと協調しRANKLを介する)上昇腸管からのカルシウム吸収も促進
エストロゲン抑制減少すると骨粗鬆症をきたしやすい
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