学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §3 循環 / QJ29A086

理由で解く 柔道整復師

QJ29A086 生理学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問86
問題
リンパ管で正しいのはどれか。
選択肢
1 リンパ管には弁がある。
2 リンパ液には赤血球が含まれる。
3 毛細リンパ管には厚い平滑筋層がある。
4 下半身からのリンパ液は鎖骨下動脈に戻る。
解答
正解1(リンパ管には弁がある。)
解説

リンパ管には静脈と同じように逆流を防ぐ弁が備わっており、これが正しい記述です。リンパは心臓のようなポンプをもたないため、弁と周囲の筋の動きで一方向に押し上げられます。

組織間隙にしみ出した液の一部は毛細リンパ管に取り込まれ、集合リンパ管、リンパ本幹を経て最終的に静脈へ戻ります。この流れには血圧のような強い推進力がないので、(1)多数の弁で逆流を止める、(2)骨格筋の収縮や呼吸運動、動脈の拍動でリンパ管が外から押される、(3)集合リンパ管自身の平滑筋がゆっくり収縮する、という3つの仕組みで前進します。下半身と左上半身のリンパは胸管に集まり左静脈角(左内頸静脈と左鎖骨下静脈の合流部)へ、右上半身のリンパは右リンパ本幹から右静脈角へ注ぎます。戻る先はいずれも静脈であって動脈ではありません。運動や関節の動きがむくみを軽くするのは、この筋ポンプが働くためです。

✓ 1. 正しい
リンパ管には弁がある。
リンパ管には静脈と同様の半月状の弁が多数あり、リンパの逆流を防いで一方向の流れをつくります。心臓のような中枢ポンプがないぶん、弁と筋ポンプが推進を支えています。
✗ 2. 誤り
リンパ液には赤血球が含まれる。
リンパ液は組織液に由来する淡黄色の液で、リンパ節を通る際にリンパ球が加わります。赤血球は毛細血管内にとどまり通常はリンパ液に含まれません。「リンパ球は含む、赤血球は含まない」と区別して覚えましょう。
✗ 3. 誤り
毛細リンパ管には厚い平滑筋層がある。
毛細リンパ管は一層の内皮細胞からなり、基底膜も不完全で、平滑筋層をもちません。むしろ内皮細胞の間に大きなすき間があるため、蛋白質など大きな分子も取り込めます。平滑筋をもつのは合流したあとの集合リンパ管です。
✗ 4. 誤り
下半身からのリンパ液は鎖骨下動脈に戻る。
下半身のリンパは乳び槽から胸管を上行し、左静脈角(左内頸静脈と左鎖骨下静脈の合流部)で静脈系に合流します。戻る先は静脈であり、動脈ではありません。「リンパは最後に静脈へ帰る」と押さえておきます。
ポイント
  • リンパ管には逆流防止弁があり、骨格筋の収縮・呼吸運動・動脈拍動による筋ポンプで前進する。
  • 毛細リンパ管は内皮細胞1層のみで平滑筋をもたない。平滑筋があるのは集合リンパ管。
  • リンパ液にはリンパ球は含まれるが赤血球は含まれない。
  • 下半身+左上半身のリンパ→胸管→左静脈角。右上半身のリンパ→右リンパ本幹→右静脈角。
  • 合流先はいずれも静脈。動脈へ戻る経路は存在しない。
比較表
部位壁の構造特徴
毛細リンパ管内皮細胞1層、基底膜は不完全なし大きな分子も取り込める。盲端で始まる
集合リンパ管内皮+平滑筋+外膜あり(多数)自発的収縮でリンパを押し進める
胸管最も太いリンパ本幹あり下半身と左上半身のリンパを左静脈角へ
右リンパ本幹短い本幹あり右上半身のリンパを右静脈角へ
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