学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §3 循環 / QJ29A087

理由で解く 柔道整復師

QJ29A087 生理学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問87
問題
動静脈吻合が発達している組織はどれか。
選択肢
1
2
3 心臓
4 皮膚
解答
正解4(皮膚)
解説

動静脈吻合(AVA)は細動脈と細静脈を毛細血管を介さず直接つなぐ短絡路で、手掌・足底・指趾・耳介・鼻尖など、体の末梢の皮膚に発達しています。体温調節の要となる構造です。

動静脈吻合が開くと、血液は毛細血管網を素通りして大量に皮膚表層の静脈叢へ流れ込みます。皮膚温が上がるので放熱が進み、暑いときに体温を下げるのに役立ちます。逆に寒いときには交感神経の働きで吻合が閉じ、血液は深部を回って熱を逃がさないようにします。寒い日に指先が白く冷たくなり、暑い日に耳が赤く熱をもつのは、この開閉が起きているためです。吻合部の壁には厚い平滑筋があり、交感神経支配を強く受けます(グロムス器官)。一方、脳や心臓の血管は吻合に乏しい終動脈的な構造で、1本詰まればその領域が壊死しやすいという特徴があり、AVAが発達した皮膚とは対照的です。

✓ 4. これが答え
皮膚
手掌・足底・指趾・耳介・鼻尖などの皮膚には動静脈吻合が豊富にあり、交感神経の指令で開閉して皮膚血流量を大きく変えます。放熱量の調節、すなわち体温調節に直結する構造です。
✗ 1. 当てはまらない
脳の動脈は大脳動脈輪(ウィリス動脈輪)で連絡はあるものの、末梢では吻合に乏しい終動脈的な走行をとります。血流を短絡させて放熱するような仕組みはもたず、むしろ安定した血流の確保が優先されます。
✗ 2. 当てはまらない
肺循環はガス交換のための回路で、肺胞を取り巻く毛細血管を血液が確実に通ることに意味があります。毛細血管を素通りさせる短絡が発達していては酸素化が損なわれてしまいます。
✗ 3. 当てはまらない
心臓
冠状動脈は吻合の乏しい終動脈に近い構造で、閉塞すればその支配領域が心筋梗塞に陥ります。心筋は常に高い酸素需要をもつため、血流を短絡させる構造は発達していません。
ポイント
  • 動静脈吻合(AVA)は細動脈と細静脈を毛細血管を介さず直接つなぐ短絡路。
  • 手掌・足底・指趾・耳介・鼻尖など、末梢の皮膚に豊富に分布する。
  • 交感神経支配を受け、開けば皮膚血流が増えて放熱が進み、閉じれば熱を逃がさない。体温調節の主役。
  • 脳・心臓の動脈は吻合に乏しい終動脈的構造で、閉塞すると梗塞をきたしやすい。
  • 肺循環はガス交換が目的なので、毛細血管を素通りする短絡は発達していない。
比較表
組織動静脈吻合血管の特徴と理由
皮膚(手掌・足底・指趾・耳介など)豊富開閉で皮膚血流を変え放熱量を調節する
乏しい末梢は終動脈的。安定した血流確保が優先
心臓(冠状動脈)乏しい終動脈に近く、閉塞で心筋梗塞となる
乏しい毛細血管を通ることがガス交換に必須
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