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理由で解く 柔道整復師

QJ29A084 生理学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問84
問題
細胞とその機能の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 好中球-抗体産生
2 Bリンパ球-細胞破壊
3 Tリンパ球-貪食殺菌
4 マクロファージ-抗原提示
解答
正解4(マクロファージ-抗原提示)
解説

免疫細胞は「誰が食べるか・誰が抗体を作るか・誰が壊すか」で役割がはっきり分かれている。異物を貪食したうえでその断片をヘルパーT細胞に見せる抗原提示を担うのはマクロファージであり、組合せとして正しいのは4である。

免疫は生まれつき備わる自然免疫と、抗原を認識してから成立する獲得免疫に分けられる。自然免疫の主役が貪食細胞で、好中球は血中で最も数の多い白血球として感染部位に真っ先に到着し、細菌を取り込んで活性酸素やリソソーム酵素で殺菌する。マクロファージも同じく貪食するが、加えて消化した抗原のペプチドをMHCクラスII分子に載せて細胞表面に示し、ヘルパーT細胞を活性化する。この抗原提示が自然免疫と獲得免疫をつなぐ橋渡しであり、樹状細胞・マクロファージ・Bリンパ球がその能力をもつ。獲得免疫側では、Bリンパ球が形質細胞へ分化して抗体(免疫グロブリン)を産生し(液性免疫)、Tリンパ球のうち細胞傷害性T細胞がウイルス感染細胞や腫瘍細胞を直接破壊する(細胞性免疫)。ヘルパーT細胞はこのどちらか一方に属するのではなく、サイトカインを介してBリンパ球の抗体産生(液性免疫)と細胞傷害性T細胞の活性化(細胞性免疫)の両方を指揮する司令塔である。組合せ問題では、まず各細胞の「一番の仕事」を一語で言えるようにしてから選択肢を照合すると迷わない。

✓ 4. 正しい
マクロファージ-抗原提示
マクロファージは単球が組織に移行した細胞で、貪食した抗原を分解し、そのペプチドをMHCクラスII分子に結合させてヘルパーT細胞に提示する。これによりヘルパーT細胞が活性化し、Bリンパ球の抗体産生や細胞傷害性T細胞の増殖といった獲得免疫が動き出す。貪食と抗原提示の両方を担う点がマクロファージの最大の特徴で、組合せとして正しい。
✗ 1. 誤り
好中球-抗体産生
好中球の仕事は貪食殺菌であり、抗体は産生しない。細菌感染の急性期に最初に集まり、遊走・貪食のうえミエロペルオキシダーゼなどによる活性酸素で殺菌し、その残骸が膿となる。抗体を作るのはBリンパ球が分化した形質細胞なので、「好中球=貪食殺菌」と置き換えて覚えるとよい。
✗ 2. 誤り
Bリンパ球-細胞破壊
Bリンパ球の主たる機能は抗体産生であって、標的細胞の破壊ではない。抗原刺激を受けたBリンパ球は形質細胞へ分化してIgGやIgMを分泌し、体液中で抗原を中和・オプソニン化する。感染細胞や腫瘍細胞を直接壊すのは細胞傷害性T細胞やNK細胞なので、この組合せは成立しない。
✗ 3. 誤り
Tリンパ球-貪食殺菌
Tリンパ球は貪食を行わない。ヘルパーT細胞はサイトカインを出して免疫全体を指揮し、細胞傷害性T細胞はパーフォリンやグランザイムで標的細胞にアポトーシスを起こさせる。貪食殺菌を担うのは好中球とマクロファージであり、「食べるのは顆粒球・単球系、指揮と破壊はT細胞」と分けて整理すると混同を防げる。
ポイント
  • 好中球=貪食殺菌の主力。白血球中で最多、急性炎症の初期に最初に到着する。
  • マクロファージ=貪食+抗原提示。MHCクラスIIでヘルパーT細胞を活性化し、自然免疫と獲得免疫をつなぐ。
  • Bリンパ球=形質細胞に分化して抗体を産生(液性免疫)。抗原提示能ももつ。
  • ヘルパーT細胞=サイトカインを介して、Bリンパ球の抗体産生(液性免疫)と細胞傷害性T細胞の活性化(細胞性免疫)の両方を指揮する司令塔。どちらか一方の免疫に属する細胞ではない。
  • 細胞傷害性T細胞が感染細胞・腫瘍細胞を直接破壊するのが細胞性免疫。
  • プロフェッショナル抗原提示細胞は樹状細胞・マクロファージ・Bリンパ球の3つ。
  • 覚え方は「食べるのは好中球とマクロファージ、作るのはB、指揮して壊すのはT」。
比較表
細胞系統主な機能属する免疫
好中球顆粒球(自然免疫)遊走・貪食・殺菌自然免疫
マクロファージ単球由来貪食・殺菌+抗原提示自然免疫〜獲得免疫の橋渡し
樹状細胞骨髄由来抗原提示(最も強力)獲得免疫の起点
Bリンパ球リンパ球形質細胞へ分化し抗体産生獲得免疫(液性)
ヘルパーT細胞リンパ球サイトカインによる免疫の指揮(B細胞の抗体産生も細胞傷害性T細胞の活性化も促す)獲得免疫(液性・細胞性の両方を指揮)
細胞傷害性T細胞リンパ球感染細胞・腫瘍細胞の破壊獲得免疫(細胞性)
NK細胞リンパ球感染細胞・腫瘍細胞の破壊(抗原提示を要しない)自然免疫
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