学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §9 神経系 / QJ29A078

理由で解く 柔道整復師

QJ29A078 解剖学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問78
問題
滑車神経が支配するのはどれか。
選択肢
1 上斜筋
2 上直筋
3 下斜筋
4 下直筋
解答
正解1(上斜筋)
解説

滑車神経(第IV脳神経)が支配する外眼筋は上斜筋ただ1つです。正解は1です。

外眼筋6つの支配は「外側直筋は外転神経(VI)、上斜筋は滑車神経(IV)、残る4つ(上直筋・下直筋・内側直筋・下斜筋)と上眼瞼挙筋は動眼神経(III)」と割り振られています。上斜筋は眼窩の内側上方にある滑車という輪状の構造に腱を通してから向きを変え、眼球の上外側後方に停止します。この滑車が神経の名前の由来で、名前と筋を直接結びつけられるのが本問の要点です。作用は眼球を下外方へ向け(下転・外転)、内旋させることです。ここで注意したいのが、臨床では眼球を内転位にしてから下転させて上斜筋の機能をみるという点です。これは内転させると上斜筋の下転作用が純化して評価しやすくなるための検査手技であって、筋の作用方向そのものではありません。「内転位で下方を見させる」検査を作用と取り違えて「上斜筋=下内方」と覚えないでください。上斜筋(下外方)と下斜筋(上外方)はどちらも外転成分を持つ、と対で捉えると整理できます。滑車神経は中脳の背側から出る唯一の脳神経で、脳内で交叉して対側の上斜筋を支配し、脳神経の中で最も細く走行が長いため頭部外傷で傷害されやすいという特徴もあります。麻痺すると階段を下りるときなどの下方視で複視が強まり、患者は頭を健側へ傾けて代償します。

✓ 1. 正しい
上斜筋
滑車神経が支配する唯一の筋です。腱が滑車を通ることが名称の由来で、「滑車神経=上斜筋」は一対一で覚えて構いません。作用は下転・外転・内旋です。
✗ 2. 誤り
上直筋
動眼神経(上枝)の支配で、眼球を上転させます。上眼瞼挙筋も同じ上枝が支配するため、動眼神経麻痺では眼瞼下垂を伴います。
✗ 3. 誤り
下斜筋
動眼神経(下枝)の支配で、作用は上転・外転・外旋です。「斜筋」という名前が上斜筋と共通するため取り違えやすいのですが、滑車神経が支配するのは上斜筋だけです。
✗ 4. 誤り
下直筋
動眼神経(下枝)の支配で、眼球を下転させます。下方視ができないのは動眼神経麻痺でも起こりますが、支配神経は滑車神経ではありません。
ポイント
  • 外眼筋の支配は「外側直筋=外転神経、上斜筋=滑車神経、残りすべて+上眼瞼挙筋=動眼神経」。
  • 上斜筋の腱が滑車を通ることが「滑車神経」の名の由来。名前から筋を思い出せる。
  • 上斜筋の作用は下転・外転・内旋。単独で働くと眼球は下外方を向く。
  • 臨床で内転位にしてから下転させるのは、上斜筋の下転作用を純化させて評価するための検査手技。作用方向そのものではないので「下内方」と覚えないこと。
  • 斜筋は2つとも外転成分を持つ(上斜筋=下外方、下斜筋=上外方)。
  • 滑車神経は中脳背側から出る唯一の脳神経で、交叉して対側の筋を支配する。最も細い脳神経。
  • 滑車神経麻痺では下方視での複視が強く、頭部を健側へ傾けて代償する。
比較表
外眼筋支配神経主な作用
上斜筋滑車神経(IV)下転・外転・内旋(下外方視)
外側直筋外転神経(VI)外転
上直筋動眼神経(III)上転
下直筋動眼神経(III)下転
内側直筋動眼神経(III)内転
下斜筋動眼神経(III)上転・外転・外旋(上外方視)
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。