学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §11 体表解剖 / QJ29A079

理由で解く 柔道整復師

QJ29A079 解剖学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問79
問題
殿筋の注射部位はどれか。
選択肢
1 上外側部
2 上内側部
3 下外側部
4 下内側部
解答
正解1(上外側部)
解説

殿部の筋肉注射は、坐骨神経や大きな血管を避けるため、殿部を4つに分けたうちの上外側部に行われます。正解は1です。

はじめに前提を確認しておきます。注射は医行為であり柔道整復師の業務ではありませんが、殿部の神経・血管の位置関係を問う解剖学の設問として国家試験に頻出するため、部位選択の根拠を理解しておく必要があります。坐骨神経は梨状筋の下(梨状筋下孔)から骨盤を出て、殿部の内側下方を通り、大腿後面へ下ります。下殿神経・下殿動脈・陰部神経もこの付近を通るため、殿部の下方と内側は針を進めてはいけない領域です。そこで殿部を縦横の線で4分割し、大きな神経や血管から最も遠い上外側の4分の1が注射部位として選ばれます。ここは中殿筋が厚く、薬液を受け止める筋量も十分にあります。部位を決める目安としては、上前腸骨棘と上後腸骨棘を結んだ線の外側3分の1の点(クラークの点)や、上前腸骨棘・腸骨稜・大転子を指標にとるホッホシュテッター部位が用いられます。臨床では、こうした骨指標から部位を決め、血管内への誤注入がないことを確認したうえで注入されます。柔道整復師として押さえるべきはこの位置関係の応用です。殿部の施術や固定においても、坐骨神経が走る内側下方への強い圧迫は避け、下肢へ放散するしびれや疼痛を訴える場合は圧の位置と強さを見直してください。

✓ 1. 正しい
上外側部
4分割したうちのこの区画が、坐骨神経・下殿動脈・陰部神経のいずれからも最も離れています。中殿筋が厚く、骨指標(腸骨稜・上前腸骨棘・大転子)から位置を決めやすいのも利点です。
✗ 2. 誤り
上内側部
仙骨・仙腸関節に近く、梨状筋上孔から出る上殿動脈・上殿神経が走る領域です。骨に当たりやすく血管神経を傷つける恐れがあるため、同じ「上」でも外側寄りが選ばれます。
✗ 3. 誤り
下外側部
大腿後面へ向かう坐骨神経の走行に近づく区画です。神経損傷を避けるため、線を1つ上にずらした上外側部が選択されます。
✗ 4. 誤り
下内側部
坐骨神経・下殿神経・下殿動脈・陰部神経が集中する、最も避けるべき区画です。ここに刺入すると坐骨神経損傷による下肢の疼痛・しびれ・下垂足を招きかねません。対角の上外側部が用いられます。
ポイント
  • 注射自体は柔道整復師の業務ではない。本問は殿部の神経・血管の位置関係を問う解剖学の設問として押さえる。
  • 殿部筋肉注射の部位は4分割の上外側部(外側上方1/4)。
  • 理由は坐骨神経が殿部の内側下方(梨状筋下孔から大腿後面へ)を通るため。
  • 上外側部は中殿筋が厚く、薬液を保持する筋量が確保できる。
  • 部位決定の目安はクラークの点(上前腸骨棘と上後腸骨棘を結ぶ線の外側1/3)やホッホシュテッター部位。
  • 柔道整復師としての応用:殿部の施術・固定でも、坐骨神経が走る内側下方への強い圧迫は避け、下肢への放散痛やしびれがあれば圧の位置を見直す。
比較表
殿部4分割の区画近くにある主な構造注射部位としての適否
上外側部中殿筋(厚い)適する(ここが選ばれる)
上内側部上殿動脈・上殿神経、仙骨・仙腸関節避ける
下外側部坐骨神経(大腿後面への走行)避ける
下内側部坐骨神経、下殿動脈・下殿神経、陰部神経最も避ける
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