学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §27 膝関節十字靱帯損傷の診察 / QJ29A025

理由で解く 柔道整復師

QJ29A025 必修問題

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問25
問題
前十字靱帯損傷で膝くずれの原因はどれか。
選択肢
1 大腿筋膜張筋の筋力低下
2 関節支持性の低下
3 関節遊離体の存在
4 持続する疼痛
解答
正解2(関節支持性の低下)
解説

膝くずれ(giving way)は、前十字靱帯(ACL)が脛骨のずれを止められなくなったために起こる。原因は関節支持性の低下である。

ACLは大腿骨外側顆の内側面から脛骨顆間隆起の前方へ走り、脛骨が前方へ滑るのと下腿の内旋を制動している。これが断裂すると、体重が乗って膝がわずかに屈曲した瞬間に脛骨が前外方へ亜脱臼し、直後に自然に戻る。この一瞬のずれが「膝が抜ける」「力が入らない」という膝くずれの正体である。ピボットシフトテストは、まさにこの現象を検者が意図的に再現して確かめる検査にほかならない。方向転換、着地、階段の降段など、大腿四頭筋が働いて脛骨を前へ引く場面で起こりやすい。膝くずれを繰り返すと半月板損傷や軟骨損傷を続発するため、装具でのコントロールと、脛骨を後方へ引いてACLを助けるハムストリングスを中心とした筋力・バランス訓練を行い、競技復帰を目指す例では医師と靱帯再建術も含めて相談する。

✗ 1. 誤り
大腿筋膜張筋の筋力低下
大腿筋膜張筋は腸脛靱帯を介して膝の外側を支えるが、脛骨の前方移動を直接止める役ではない。ACL損傷後の機能回復で中心になるのはハムストリングスである。
✓ 2. 正しい
関節支持性の低下
ACLという静的支持機構が失われ、脛骨の前方移動と回旋を止められなくなった結果、荷重時に一過性の亜脱臼が生じる。これが膝くずれである。
✗ 3. 誤り
関節遊離体の存在
遊離体が関節面の間に挟まると、膝が急に伸びない・曲がらないという「ロッキング(嵌頓症状)」を起こす。膝くずれとは別の現象である。
✗ 4. 誤り
持続する疼痛
痛みによる反射的な筋抑制で力が抜けることはあるが、ACL損傷における膝くずれの本態は力学的な不安定性であり、疼痛はその主因ではない。
ポイント
  • ACLは脛骨の前方移動と下腿内旋を制動する。断裂=関節支持性の低下。
  • 膝くずれ(giving way)=荷重時に脛骨が前外方へ一過性に亜脱臼する現象。ピボットシフトテストはこれを再現する検査。
  • ロッキングとの区別:遊離体・半月板の嵌頓 → ロッキング、支持性低下 → 膝くずれ。
  • 膝くずれの反復は半月板・軟骨の二次損傷につながる。装具で守りつつ機能を高める。
  • ハムストリングスはACLのはたらきを助ける(脛骨を後方へ引く)ため、強化の中心に据える。
比較表
症状内容おもな原因
膝くずれ(giving way)荷重時に膝が抜ける感覚ACL損傷などによる関節支持性の低下
ロッキング急に膝が伸びない・曲がらない半月板断裂片や関節遊離体の嵌頓
キャッチング屈伸の途中でひっかかる感じ半月板損傷など
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。