学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §17 肩関節烏口下脱臼の診察および整復 / QJ29A014

理由で解く 柔道整復師

QJ29A014 必修問題

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問14
問題
肩関節烏口下脱臼の症状で正しいのはどれか。
選択肢
1 上腕長の短縮
2 三角筋部の腫脹
3 水平位で弾発性固定
4 三角筋胸筋三角の消失
解答
正解4(三角筋胸筋三角の消失)
解説

骨頭が前内下方へ移動して三角筋胸筋三角(モーレンハイム窩)を埋めるため、この陥凹が消失する。4が正解。

烏口下脱臼は肩関節脱臼の大多数を占める型で、上腕骨頭が烏口突起の下方に転位する。外観上の特徴は三つあり、(1)三角筋の膨隆が失われて肩峰が角状に突出する(肩の丸みが消える)、(2)肩峰下に指が入る空虚感を触れる、(3)鎖骨・三角筋前縁・大胸筋上縁で囲まれた三角筋胸筋三角(モーレンハイム窩)の陥凹が骨頭で埋まって消える、である。患肢は約20〜30度の外転・軽度内旋位で弾発性固定され、体側に戻そうとするとゴムのような抵抗が返ってくる。骨性の支えを失っているため自力では戻せず、健側の手で患肢を支える姿勢をとる。

✗ 1. 誤り
上腕長の短縮
骨頭が関節窩から前下方へ抜けるため、上腕はむしろやや延長して見える。短縮を認めるのは上腕骨外科頸骨折など。
✗ 2. 誤り
三角筋部の腫脹
三角筋部は骨頭が抜けたことで膨隆を失い平坦化し、肩峰が角ばって見える。腫脹ではなく「へこみ」が特徴。
✗ 3. 誤り
水平位で弾発性固定
弾発性固定の肢位は約20〜30度の外転位。水平位(90度外転)で固定されるのは烏口下脱臼の像ではない。
✓ 4. 正しい
三角筋胸筋三角の消失
烏口突起下に移動した骨頭がモーレンハイム窩を内側から押し上げるため、本来ある陥凹が消える。烏口下脱臼を示す代表的な所見。
ポイント
  • 烏口下脱臼は肩関節脱臼の大多数を占める型。骨頭は烏口突起下に転位する。
  • 外観三徴:三角筋の膨隆消失(肩峰の角状突出)、肩峰下の空虚感、三角筋胸筋三角の消失。
  • 患肢は約20〜30度外転・軽度内旋位で弾発性固定。上腕はやや延長して見える。
  • 上腕長の短縮は骨折(外科頸骨折など)を疑う所見で、脱臼の像ではない。
  • 整復前後に腋窩神経(肩外側の知覚)と橈骨動脈拍動を確認する。
比較表
所見肩関節烏口下脱臼上腕骨外科頸骨折
三角筋の膨隆消失(肩峰が角状に突出)保たれる
肩峰下空虚に触れる骨頭を触れる
三角筋胸筋三角消失保たれる
弾発性固定あり(約20〜30度外転位)なし(異常可動性・軋轢音)
上腕長やや延長短縮しうる
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