学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §17 肩関節烏口下脱臼の診察および整復 / QJ29A015

理由で解く 柔道整復師

QJ29A015 必修問題

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問15
問題
肩関節烏口下脱臼の合併症と症状の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 大結節骨折-肩関節外側の圧痛
2 筋皮神経麻痺-肩関節外側の感覚障害
3 腋窩動脈損傷-橈骨動脈の拍動消失
4 肩腱板損傷-肩関節の外転障害
解答
正解2(筋皮神経麻痺-肩関節外側の感覚障害)
解説

肩関節外側の感覚障害は腋窩神経の支配領域。筋皮神経と組み合わせた2が設問の答え。

肩関節前方(烏口下)脱臼では、骨頭が前下方へ移動する過程で腋窩を走る腋窩神経が引き伸ばされやすく、神経合併症としては腋窩神経麻痺が最も多い。腋窩神経は三角筋と小円筋を支配し、皮枝である上外側上腕皮神経が肩関節外側の皮膚知覚を担うため、麻痺すると肩外側の感覚鈍麻と三角筋による外転障害が現れる。一方の筋皮神経は上腕二頭筋・上腕筋・烏口腕筋を支配し、終枝の外側前腕皮神経が前腕橈側の知覚を担当するので、障害されると肘屈曲力の低下と前腕外側(橈側)の感覚障害となる。整復の前後には、肩外側の知覚と橈骨動脈の拍動を必ず確認し、異常があれば医師へつなぐ。

✗ 1. 正しい組合せ(答えではない)
大結節骨折-肩関節外側の圧痛
大結節は肩峰の外下方に位置し、腱板の付着部でもある。骨折すると同部に限局した圧痛が出る。
✓ 2. これが誤り(正解)
筋皮神経麻痺-肩関節外側の感覚障害
肩関節外側の感覚を担うのは腋窩神経(上外側上腕皮神経)。筋皮神経の障害では前腕外側(橈側)の感覚障害と肘屈曲力低下が生じる。
✗ 3. 正しい組合せ(答えではない)
腋窩動脈損傷-橈骨動脈の拍動消失
腋窩動脈は上腕動脈から橈骨動脈へ続く本幹なので、損傷すると末梢の拍動が触れなくなる。緊急に医師へつなぐ所見。
✗ 4. 正しい組合せ(答えではない)
肩腱板損傷-肩関節の外転障害
棘上筋腱の断裂などで外転の開始と保持が困難になる。高齢者の脱臼では合併しやすい。
ポイント
  • 肩関節前方脱臼で最も多い神経合併症は腋窩神経麻痺。
  • 腋窩神経=三角筋・小円筋の支配+肩外側の知覚。麻痺で外転障害と肩外側の感覚障害。
  • 筋皮神経=上腕二頭筋・上腕筋・烏口腕筋の支配+前腕橈側の知覚。麻痺で肘屈曲力低下と前腕外側の感覚障害。
  • 腋窩動脈損傷は橈骨動脈拍動の消失で気づく。整復前後で必ず触知する。
  • 腱板損傷の合併では外転障害が残るため、経過中に外転機能を再評価する。
比較表
神経支配筋知覚領域麻痺時の所見
腋窩神経三角筋・小円筋肩関節外側外転障害+肩外側の感覚障害
筋皮神経上腕二頭筋・上腕筋・烏口腕筋前腕外側(橈側)肘屈曲力低下+前腕外側の感覚障害
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