学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §9 上腕骨外科頸外転型骨折の診察および整復 / QJ29A008

理由で解く 柔道整復師

QJ29A008 必修問題

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問8
問題
上腕骨外科頸外転型骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 三角筋の膨隆は消失する。
2 遠位骨折端は外方へ向く。
3 近位骨片は軽度内転する。
4 遠位骨片は前外上方へ転位する。
解答
正解3(近位骨片は軽度内転する。)
解説

上腕骨外科頸外転型骨折では近位骨片が軽度内転位をとる。3が正解。骨折部の角状変形は前内方凸(頂点は内側)になる。

上腕骨外科頸骨折は、受傷時の上肢の位置と外力の向きによって外転型と内転型に分かれ、外転型のほうが多い。外転型は上肢を外転した状態で手や肘をついて介達外力を受けて生じ、遠位骨片(骨幹部)が外転位をとる。このとき遠位骨片の骨折端は前内方を向いて突出し、近位骨片は軽度内転位をとるため、両骨片がつくる角状変形の頂点(凸)は内側に来る。すなわち外転型の骨折部は前内方凸であり、外方凸を呈するのは内転型のほうである。「外転型」「内転型」という名称は遠位骨片・上肢の肢位を指しており、角状変形の凸の向きとは逆になるので取り違えないこと。近位骨片が軽度内転位をとるのは主に受傷時の外力の方向によるもので、骨頭は関節窩内にとどまるため、肩の丸み(三角筋の膨隆)は保たれ、肩峰下も空虚にならない。この点が肩関節前方脱臼との重要な鑑別になる。外転型では骨折端が前内方へ突出するため、腋窩の血管・神経損傷にも注意する。

✗ 1. 誤り
三角筋の膨隆は消失する。
三角筋の膨隆が失われて肩峰が角状に突出するのは肩関節前方脱臼の所見。骨折では骨頭が関節窩に残るため膨隆は保たれる。
✗ 2. 誤り
遠位骨折端は外方へ向く。
外転型では遠位骨折端は内方(前内方)を向く。外方を向くのは内転型の像。
✓ 3. 正しい
近位骨片は軽度内転する。
外転型では近位骨片が軽度内転位をとる。遠位骨片が外転位をとることと合わせて、角状変形の頂点は内側(前内方凸)になる。外転型の骨形の説明として整合する。
✗ 4. 誤り
遠位骨片は前外上方へ転位する。
外転型の遠位骨片は骨折端を前内方へ向けて転位するのが基本で、前外上方ではない。
ポイント
  • 外科頸骨折は外転型と内転型に分かれ、外転型が多い。
  • 外転型:上肢(遠位骨片)は外転位。近位骨片は軽度内転、遠位骨折端は前内方を向き、角状変形は前内方凸(頂点は内側)。
  • 内転型:上肢(遠位骨片)は内転位。遠位骨折端は外方を向き、角状変形は外方凸(頂点は外側)。
  • 「外転型/内転型」という名称は遠位骨片・上肢の肢位を指すもので、角状変形の凸の向きは名称と逆になる。ここが最大の取り違えポイント。
  • 近位骨片の軽度内転は主に受傷時の外力の方向による。近位骨片には腱板(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)が付着するが、その合力で内転するわけではない。
  • 骨頭は関節窩に残るため、三角筋の膨隆は保たれ肩峰下も空虚にならない(脱臼との鑑別点)。
  • 高齢者に多く、腋窩神経・腋窩動脈の損傷合併に注意して整復前後で確認する。とくに外転型は骨折端が前内方へ突出するため危険。
比較表
項目外転型内転型
上肢(遠位骨片)の肢位外転位内転位
骨折部の角状変形前内方凸(頂点は内側)外方凸(頂点は外側)
近位骨片軽度内転軽度外転
遠位骨折端の向き前内方外方
三角筋の膨隆保たれる保たれる
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