学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ28P120

理由で解く 柔道整復師

QJ28P120 柔道整復理論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問120
問題
50歳の女性。右手関節部の疼痛があり、ボタンかけが不自由になり来所した。手関節部に軽度の腫脹および圧痛を認め、ファーレンテスト陽性、フィンケルスタインテスト陰性。PerfectOの不整がみられた。感覚障害がみられないのはどれか。
選択肢
1 示指
2 中指
3 環指
4 小指
解答
正解4(小指)
解説

ファーレンテスト陽性、フィンケルスタインテスト陰性、パーフェクトOの不整——正中神経が手根管で絞扼された像。正中神経の支配域から外れる4の小指には感覚障害がみられない。

手根管は屈筋支帯と手根骨で囲まれたトンネルで、屈筋腱とともに正中神経が通る。ここが狭くなると正中神経が圧迫され、手掌側では母指・示指・中指と環指の橈側半分にしびれや感覚鈍麻が出る。環指は橈側半が正中神経、尺側半が尺骨神経という「割れた」支配を受けるため、環指の内側と外側で感じ方が違うという訴えは手根管症候群を強く示唆する所見になる。一方、小指は全体が尺骨神経の支配で、その走行は手根管の外(ギヨン管)を通るため、手根管症候群では感覚障害を生じない。運動面では短母指外転筋など母指球筋が障害されて母指の対立が拙劣になり、母指と示指で輪をつくるパーフェクトOが丸くならず角ばる。ボタンかけの不自由さもこの巧緻運動障害を反映している。フィンケルスタインテスト陰性はド・ケルバン病を除外する情報である。中年女性に多い疾患であり、母指球の萎縮が進む前に医師の評価と手関節の安静・夜間の装具などの対応につなげたい。

✗ 1. 答えではない(感覚障害がみられる)
示指
示指の掌側は正中神経の固有指神経が支配しており、手根管で絞扼されれば感覚障害が生じる。母指・示指・中指は正中神経支配の中心であり、しびれの訴えが最も出やすい部位。
✗ 2. 答えではない(感覚障害がみられる)
中指
中指の掌側も全体が正中神経の支配域にあたる。示指とともに、手根管症候群のしびれが典型的に現れる指である。
✗ 3. 答えではない(感覚障害がみられる)
環指
環指は橈側半が正中神経、尺側半が尺骨神経という分割支配を受ける。したがって橈側半に感覚障害が出るため「感覚障害がみられない指」には該当しない。同じ指の中で感じ方が左右で違うという訴えは診断の助けになる。
✓ 4. 感覚障害はみられない(これが答え)
小指
小指は掌側・背側とも尺骨神経の支配で、その尺骨神経は手根管を通らずギヨン管を経由する。したがって手根管症候群では小指の感覚は保たれる。小指にしびれがある場合は肘部管症候群やギヨン管症候群など尺骨神経障害を考える。
ポイント
  • 手根管症候群=手根管内での正中神経の絞扼。中年女性に多い。
  • 感覚障害の範囲は母指・示指・中指+環指の橈側半(掌側)。小指は尺骨神経支配で無症状
  • 環指の「橈側半だけしびれる」は正中神経障害を示す強い手がかり。
  • 運動障害は母指球筋(短母指外転筋など)=母指対立の障害。パーフェクトOの不整やボタンかけ困難として現れる。
  • ファーレンテスト陽性で手根管症候群を支持、フィンケルスタインテスト陰性でド・ケルバン病を除外
  • 正中神経の掌側枝(手掌枝)は手根管の外を通るため、母指球部の皮膚感覚は保たれる。
比較表
指(掌側)支配神経手根管症候群での感覚障害
母指正中神経あり
示指正中神経あり
中指正中神経あり
環指橈側半=正中神経/尺側半=尺骨神経橈側半にあり
小指尺骨神経なし
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