学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ28P118
理由で解く 柔道整復師

別冊No.8の外観写真では、他指がほぼ伸展しているのに示指だけがMP関節で軽度屈曲位にとどまり、脱臼に特徴的な著明な変形や過伸展位はみられない。この所見と、伸展の途中(−30度)で他動的にも動かなくなること、中手骨頭橈側の圧痛から、橈側側副靱帯が中手骨頭橈側の骨隆起に乗りあげて嵌頓した示指MP関節のロッキングが最も考えられる。
MP関節のロッキングは示指に最も多く、中手骨頭の橈側に骨性の隆起や骨棘があると、強く握る動作をきっかけに橈側側副靱帯(あるいは掌側板の副靱帯線維)がその隆起を乗り越えて引っかかり、元に戻れなくなって起こる。所見の特徴は、腫脹や変形が軽度であるのに、ある角度から先へ他動的にも伸展できないこと、そして中手骨頭橈側に限局した圧痛があることで、本例の記載と外観写真の見え方はいずれもこれに合致する。脱臼であれば著明な変形と弾発性固定が前面に出るため、この区別が診断の分かれ目になる。対応としては、まずMP関節をいったん屈曲させて軽く牽引しながら中手骨頭に対する基節骨の位置をずらし、乗りあげを解除する徒手整復を試みる。局所麻酔下でないと筋緊張で解除できないこともあり、徒手で戻らない場合は無理に反復せず、観血的整復も含めた判断のため医師へ紹介する。
| 病態 | 外観・変形 | 自動伸展 | 他動伸展 | 圧痛部位 |
|---|---|---|---|---|
| MP関節ロッキング(本例) | 軽度腫脹と軽度屈曲位のみ | 途中まで可 | 途中から不能 | 中手骨頭橈側 |
| MP関節背側脱臼 | 著明な変形・過伸展位 | 不能 | 弾発性固定 | 関節全体 |
| 複雑性(垂直性)MP脱臼 | 変形は軽度に見えることも | 不能 | 整復不能 | 掌側の皮膚陥凹を伴う |
| 指伸筋腱脱臼(尺側へ) | 屈曲時に腱の逸脱 | 困難 | 可能 | MP背側・矢状索 |
解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。