学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ28P114

理由で解く 柔道整復師

QJ28P114 柔道整復理論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問114
問題
21歳の男性。柔道の稽古中、左足関節を内反し負傷した。翌日、足関節外側部の痛みが強いため来所した。写真(別冊 No. 5)に示す部位に著明な圧痛と腫脹を認める。前方引き出しテストは陰性であった。考えられるのはどれか。
図
選択肢
1 前距腓靱帯損傷
2 三角靱帯損傷
3 リスフラン関節損傷
4 踵骨前方突起骨折
解答
正解4(踵骨前方突起骨折)
解説

足関節の内反強制で外側部が痛み、前方引き出しテストが陰性。前距腓靱帯が保たれているのに外側前下方に強い圧痛があるなら、二分靱帯に引かれて起こる踵骨前方突起骨折を考える。

足部が内がえしされると、外側にある靱帯が近位から遠位まで一斉に緊張する。最も多く傷むのは前距腓靱帯だが、それより遠位で踵骨前方突起と舟状骨・立方骨を結ぶ二分靱帯(踵舟靱帯+踵立方靱帯)が強く引かれると、付着部の踵骨前方突起が裂離する。圧痛点の位置関係が決め手で、前距腓靱帯の付着部は外果前縁の直下、踵骨前方突起はそれよりさらに前方かつ遠位、足根洞の前方にあたる。前方引き出しテストは距骨が前方へ滑る量をみる検査で、前距腓靱帯の破綻を反映するため、陰性であることは同靱帯が機能的に保たれている根拠になる。この骨折は骨片が小さく、通常の正面・側面像では他の骨と重なって写りにくいため、単純な足関節捻挫として扱われ、痛みが数か月続いてから発見されることが珍しくない。内反捻挫後に外果前下方より前方の一点に鋭い圧痛が残るときは、この骨折を念頭に置いて斜位撮影を含む画像評価を医師に依頼し、それまでは足部の内反を制限する固定と免荷で対応する。

✓ 4. 最も考えられる
踵骨前方突起骨折
内反強制で二分靱帯が緊張し、その付着部である踵骨前方突起が裂離する。圧痛点は外果の前下方かつ前距腓靱帯付着部より前方・遠位にあり、前方引き出しテストが陰性という所見とも矛盾しない。写真に示された圧痛部位がこの位置に一致するかを触診で確かめる。
✗ 1. 考えにくい
前距腓靱帯損傷
内反捻挫で最も頻度の高い損傷であり、機転だけなら合致する。しかし圧痛は外果前縁の直下に出て、断裂があれば前方引き出しテストが陽性になる。本例は同テストが陰性で、圧痛部位も同靱帯の付着部より前方にあるため、これ単独では説明しきれない。
✗ 2. 考えにくい
三角靱帯損傷
三角靱帯は足関節の内側を支える靱帯で、外がえし(外反)強制によって損傷する。本例は内反による外側部の痛みであり、受傷機転も疼痛部位も逆である。
✗ 3. 考えにくい
リスフラン関節損傷
リスフラン関節(足根中足関節)の損傷では、圧痛と腫脹は足背の中足部に出て、前足部の回旋や中足骨の押し引きで痛みが誘発される。足関節外側部という部位と合わない。
ポイント
  • 踵骨前方突起骨折は内反強制による二分靱帯の牽引で起こる裂離骨折。足関節内反捻挫と同じ機転で発生する。
  • 圧痛点の地図:前距腓靱帯=外果前縁の直下/踵骨前方突起=それより前方・遠位(足根洞の前方)。指1本分のずれを触り分ける。
  • 前方引き出しテスト陰性=前距腓靱帯の連続性が保たれている根拠。捻挫だけで説明できないときは骨性損傷を疑う。
  • 骨片が小さく通常のエックス線では見落とされやすい。斜位撮影を含む画像評価を医師に依頼する。
  • 見落とされると痛みが遷延し偽関節化する。初期は足部の内反を制限する固定と免荷で、二分靱帯に緊張をかけない。
比較表
損傷受傷機転圧痛部位前方引き出しテスト
踵骨前方突起骨折内反強制(二分靱帯の牽引)外果前下方より前方・遠位陰性
前距腓靱帯損傷内反+底屈強制外果前縁の直下断裂例で陽性
三角靱帯損傷外反強制内果下方陰性(外反ストレスで不安定)
リスフラン関節損傷前足部への軸圧・回旋足背中足部陰性
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