学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ28P115

理由で解く 柔道整復師

QJ28P115 柔道整復理論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問115
問題
18歳の男子。野球練習中に右中指を突き指し受傷した。近医を受診したところ、骨折を指摘された。受傷時の単純エックス線写真(別冊 No. 6)を示す。正しいのはどれか。
図
選択肢
1 骨片がみられるためⅡ型である。
2 DIP 関節を過伸展位で固定する。
3 固定期間は8~10週とする。
4 掌側脱臼に注意する。
解答
正解4(掌側脱臼に注意する。)
解説

突き指による骨性槌指(マレット骨折)。骨片が大きい型では、残った末節骨が深指屈筋腱に引かれて掌側へ亜脱臼するため、掌側(亜)脱臼への注意が必要になる。

槌指は、DIP関節を伸ばす終止腱の破綻でDIP関節が伸展できなくなる状態で、腱そのものが切れる腱性と、腱に引かれて末節骨基部背側がはがれる骨性(マレット骨折)に分かれる。骨性のうち、骨片が関節面のごく一部にとどまるものは関節が安定しているが、骨片が関節面の広い範囲(およそ3分の1以上)を占めると、背側の支えを失った末節骨が深指屈筋腱の牽引で掌側へずれる。この掌側亜脱臼を伴う型は、外固定だけでは整復位を保てず、経皮鋼線を用いた手術(石黒法など)の適応となるため、側面像で骨片の大きさと末節骨の掌側偏位を必ず確認し、該当すれば速やかに医師へ紹介する。固定の原則は、槌指全般でDIP関節を軽度伸展位に保ち、PIP関節は固定せず自由に動かすこと。過伸展にしないのは、背側の皮膚が引き伸ばされて圧迫され、水疱や皮膚壊死を招くからである。固定除去後も夜間だけ伸展位保持の装具を併用しながら、段階的に可動域を戻していく。

✓ 4. 正しい
掌側脱臼に注意する。
骨片が大きいと背側の支えが失われ、末節骨が深指屈筋腱に引かれて掌側へ亜脱臼する。固定中も転位が進むことがあるため、側面像での末節骨の位置を経過ごとに確認し、亜脱臼があれば手術適応として医師に紹介する。
✗ 1. 誤り
骨片がみられるためⅡ型である。
骨片があるかどうかだけでは型は決まらない。一般的な分類では、Ⅰ型=腱性(骨折を伴わない終止腱の断裂)、Ⅱ型=骨片が関節面のおよそ3分の1未満にとどまり関節が安定しているもの、Ⅲ型=骨片が関節面の3分の1以上を占め末節骨の掌側亜脱臼を伴うもの、と整理される。掌側脱臼への注意を要する本例はⅢ型にあたり、Ⅱ型ではない。ただし型番号の割り当ては教科書により差があるため、番号を暗記するのではなく「骨片が関節面に占める割合」と「末節骨の位置(掌側へずれていないか)」の2点で判断するのが実際的である。
✗ 2. 誤り
DIP 関節を過伸展位で固定する。
過伸展位にすると背側の皮膚が強く引き伸ばされ、固定具との間で圧迫されて血行障害・水疱・皮膚壊死を起こす。DIP関節は背側皮膚に無理のかからない軽度伸展位に保ち、PIP関節は固定せず自由に動かせるようにする。皮膚の色調と痛みを来所ごとに確認し、圧迫があれば固定を調整する。
✗ 3. 誤り
固定期間は8~10週とする。
骨性槌指の固定はおおむね4〜6週、腱性でも6〜8週が目安で、8〜10週は長すぎる。必要以上の固定はDIP関節の拘縮を招く。固定除去後は夜間の伸展位保持装具を併用しながら、自動運動から段階的に可動域と力を戻していく。
ポイント
  • 槌指は腱性(終止腱断裂)と骨性(末節骨基部背側の裂離骨折=マレット骨折)に分かれる。
  • 一般的な型分類:Ⅰ型=腱性、Ⅱ型=骨片が関節面の約3分の1未満で関節は安定、Ⅲ型=骨片が関節面の3分の1以上で末節骨の掌側亜脱臼を伴う。本例は掌側亜脱臼を伴うためⅢ型にあたる。番号の割り当ては教科書差があるので、最終的には「骨片が関節面に占める割合」と「末節骨の掌側偏位の有無」で判断する。
  • 骨片が関節面の広い範囲を占めると、末節骨が深指屈筋腱に引かれて掌側へ亜脱臼する(Ⅲ型)。この型は手術適応となるため医師へ紹介する。
  • 固定はDIP関節を軽度伸展位に。過伸展位は背側皮膚の血行障害・壊死を招くので避ける。
  • PIP関節は固定せず自由に動かす。固定範囲を広げすぎない。
  • 固定期間の目安は骨性で4〜6週、腱性で6〜8週。除去後は夜間装具を併用しながら段階的に可動域を戻す。
比較表
病態エックス線所見対応
Ⅰ型(腱性)終止腱の断裂(骨折なし)骨傷を認めないDIP軽度伸展位固定 6〜8週
Ⅱ型(骨性・骨片が小さい)末節骨基部背側の裂離、関節は安定関節面の約3分の1未満の骨片、末節骨の位置は正常DIP軽度伸展位固定 4〜6週
Ⅲ型(骨性・骨片が大きい)背側の支えを失い末節骨が掌側へ亜脱臼関節面の3分の1以上を占める骨片+末節骨の掌側偏位整復位保持が困難。手術適応として医師へ紹介
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