学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ28P113

理由で解く 柔道整復師

QJ28P113 柔道整復理論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問113
問題
33歳の男性。3mの塀から飛び降りて受傷した。受傷部の写真(別冊 No. 4)を別に示す。考えられるのはどれか。
図
選択肢
1 内果裂離骨折
2 三角靱帯断裂
3 距骨体部骨折
4 ショパール関節脱臼
解答
正解3(距骨体部骨折)
解説

3mの塀から飛び降りて足から着地——足部に大きな軸圧と足関節背屈強制が同時に加わる機転で、この力で壊れる代表が距骨体部骨折である。

高所から足で着地すると、体重と落下速度による垂直方向の力が踵から距骨、脛骨へと突き上げるように伝わり、同時に足関節が急激に背屈される。距骨は脛骨天蓋と踵骨の間に挟まれたくさびの位置にあり、逃げ場がないため、この力で頸部や体部が破断する。距骨骨折が重要視されるのは、距骨には筋の付着がなく表面の約6割以上が関節軟骨に覆われているため、栄養血管の入り口が狭い頸部周辺に限られ、しかも血流が末梢側から中枢(体部)へ逆行性に入るからである。骨折で血管が断たれれば体部が阻血に陥り、無腐性壊死や偽関節、距骨下関節の変形性関節症を招く。着地外傷では同じ軸圧が上へ伝わるので、踵骨骨折、脛骨天蓋骨折、脊椎圧迫骨折の合併がしばしばある。踵部・足関節・膝・腰背部を一続きに確認し、荷重痛や叩打痛の有無を漏らさず見る。距骨骨折を疑ったら、無理な整復操作を避けて安静・冷却・挙上のうえ固定し、画像評価のため速やかに医師の診察へつなぐ。

✓ 3. 最も考えられる
距骨体部骨折
高所からの着地という軸圧+背屈強制は、距骨骨折の典型的な受傷機転である。示された写真で足関節部の腫脹と変形の位置を確認し、足関節前方から内外果直下にかけて強い腫脹と圧痛があれば整合する。血行の乏しさから無腐性壊死のリスクが高い骨折であり、早期の医師受診が必要になる。
✗ 1. 考えにくい
内果裂離骨折
内果の裂離は、足部の外がえし(外反)強制によって三角靱帯が内果を引きはがす形で起こる。垂直方向の軸圧が主体で、足関節が捻られたわけではない本例の機転とは合わない。
✗ 2. 考えにくい
三角靱帯断裂
三角靱帯も外がえし強制で損傷する足関節内側の靱帯で、単独損傷はまれであり、腓骨骨折や脛腓靱帯損傷を伴うことが多い。着地による軸圧では説明できない。
✗ 4. 考えにくい
ショパール関節脱臼
ショパール関節(横足根関節=距舟関節+踵立方関節)の脱臼は、前足部に強い捻転力や側方への外力が加わったときに起こるまれな損傷で、変形は足関節部ではなく中足部に現れる。垂直の軸圧が主体の本例では優先度が低い。
ポイント
  • 高所からの着地=足部への軸圧+足関節背屈強制。距骨骨折(頸部・体部)の典型的機転。
  • 距骨は筋の付着がなく表面の大半が関節軟骨。栄養血管の入口が限られ、血流が逆行性のため、骨折で体部が阻血になりやすい。
  • 続発症は無腐性壊死、偽関節、距骨下関節・足関節の変形性関節症。長期の免荷が必要になることがある。
  • 同じ外力で踵骨骨折、脛骨天蓋骨折、脊椎圧迫骨折を合併しうる。着地外傷では足部だけを診て終わらせない。
  • 疑った時点で無理な整復は行わず、安静・冷却・挙上と固定のうえ、画像診断のため医師へつなぐ。
比較表
損傷受傷機転圧痛・変形の部位
距骨体部骨折高所からの着地(軸圧+背屈強制)足関節前方〜内外果直下、強い腫脹
内果裂離骨折外がえし(外反)強制内果
三角靱帯断裂外がえし(外反)強制内果下方(靱帯付着部)
ショパール関節脱臼前足部への強い捻転・側方外力中足部(距舟・踵立方関節部)
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