学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ28P112
理由で解く 柔道整復師
高所から落下して踵を強打し、踵骨部に強い腫脹と限局性圧痛、荷重不能だが足関節の屈伸は可能——踵骨骨折の典型像である。踵骨は血行に富む海綿骨のかたまりなので、無腐性骨壊死は起こりにくい。
この設問は「起こりにくいものはどれか」を選ぶ形式なので、正答の3以外はすべて実際に起こりやすい続発症である。踵骨骨折は屋根や脚立からの転落で踵に軸圧が加わって生じ、腫脹は踵から足関節周囲まで広く波及し、皮下出血斑が足底へ回り込むこともある。足関節(距腿関節)そのものは壊れていないため底背屈は可能で、この所見が足関節骨折との区別に役立つ。壊死が問題になるのは、表面の大部分が関節軟骨に覆われて栄養血管の入る面積が小さく、しかも血流が末梢から中枢へ逆行性に入る骨——距骨、大腿骨頭、手の舟状骨、月状骨などである。踵骨はこれと対照的に、周囲の広い非関節面から多数の栄養血管が入る海綿骨で、骨折しても骨片が阻血に陥りにくい。踵骨骨折で実際に長く患者を困らせるのは、遷延する腫脹、足部のこわばり、外側壁の膨隆による腓骨筋腱の障害、そして踵部の幅が増し扁平足化することによる靴の不適合である。だからこそ受傷直後から挙上と足趾の自動運動を続け、痛みを我慢させたまま不動を長引かせない方針が要る。
| 骨 | 無腐性壊死のリスク | 理由 |
|---|---|---|
| 踵骨 | 低い | 広い非関節面から多数の栄養血管が入る海綿骨 |
| 距骨(体部) | 高い | 表面の大半が関節軟骨、血流が逆行性で骨折により遮断される |
| 手の舟状骨(近位骨片) | 高い | 栄養血管が遠位から入るため近位骨片が阻血になる |
| 月状骨 | 高い | 関節軟骨に覆われ血管の入口が限られる(キーンベック病) |
| 大腿骨頭 | 高い | 頸部を回る血管が骨折で断たれる |
解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。