学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §23 各論(軟部組織損傷) 下肢 / QJ28P106

理由で解く 柔道整復師

QJ28P106 柔道整復理論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問106
問題
下腿コンパートメント症候群で誤っているのはどれか。
選択肢
1 腫脹が著明である。
2 安静時痛がある。
3 足関節の屈曲運動ができる。
4 動脈の拍動が触知できる。
解答
正解3(足関節の屈曲運動ができる。)
解説

誤っているのは3です。コンパートメント症候群では疼痛と筋の虚血のため、足関節・足趾の自動運動は困難になります。

下腿は骨・骨間膜・強靱な筋膜によって前方・外側・後方浅・後方深の4つの区画に仕切られています。骨折や打撲後の出血・浮腫で区画内圧が上がると、まず内圧の低い静脈と毛細血管が閉じて循環が悪化し、筋と神経が虚血に陥ります。特徴は、損傷の程度に不釣り合いなほど強い持続痛(安静時痛)と、罹患筋を他動的に伸張したときの激痛です。太い動脈は内圧上昇に耐えるため末梢の拍動は初期には触れ、拍動があることは否定材料になりません。放置すれば数時間で不可逆的な筋壊死と拘縮に至る、時間との勝負の病態です。

✓ 3. これが誤り(答え)
足関節の屈曲運動ができる。
区画内の筋が虚血と腫脹で機能を失い、動かすと激痛が走るため、足関節・足趾の自動運動は困難になります。他動的に伸張しても強い痛みが誘発されます。
✗ 1. 正しい所見(答えではない)
腫脹が著明である。
出血と浮腫で区画が張り、下腿は硬く緊満して触れます。
✗ 2. 正しい所見(答えではない)
安静時痛がある。
損傷の程度に見合わない強い持続痛が続くのが最も早期の警告徴候です。鎮痛薬で治まらない痛みは重要なサインになります。
✗ 4. 正しい所見(答えではない)
動脈の拍動が触知できる。
動脈は内圧上昇に耐えるため、初期には末梢の拍動が残ります。拍動が触れることを理由に除外してはならない点が臨床上の要点です。

対応としては、包帯やギプスをただちに緩め、患肢は心臓とほぼ同じ高さに保ち(挙上しすぎると灌流圧が下がります)、疼痛・感覚・自動運動を繰り返し確認しながら緊急に医師へ搬送します。筋膜切開の判断を要する時間依存性の病態です。

ポイント
  • 下腿は4つの区画に分かれ、内圧上昇で筋・神経が虚血に陥る。
  • 最も早期の徴候は損傷に不釣り合いな強い安静時痛と、他動伸張時の激痛。
  • 自動運動は疼痛と筋の機能障害のため困難になる。
  • 末梢動脈の拍動は初期には触れる。拍動があっても否定できない。
  • 包帯を緩め、患肢を心臓の高さに保ち、緊急に医師へ搬送する(筋膜切開の判断が必要)。
比較表
所見初期進行期
疼痛強い安静時痛、他動伸張で激痛神経障害の進行で逆に軽減することがある
腫脹・緊満著明硬く板状
感覚しびれ・異常感覚感覚脱失
自動運動疼痛で困難麻痺
末梢動脈拍動触知できる消失(末期の所見)
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