学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §22 各論(軟部組織損傷) 上肢 / QJ28P100

理由で解く 柔道整復師

QJ28P100 柔道整復理論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問100
問題
上肢の軟部組織損傷で誤っているのはどれか。
選択肢
1 上腕二頭筋長頭腱損傷は結節間溝部での断裂が多い。
2 動揺性肩関節の検査にサルカス徴候がある。
3 内側型野球肘は遅発性尺骨神経麻痺を生じる。
4 SLAP 損傷は上腕三頭筋長頭の拘縮を合併する。
解答
正解4(SLAP 損傷は上腕三頭筋長頭の拘縮を合併する。)
解説

誤っているのは4です。SLAP損傷が関わるのは上腕二頭筋長頭腱の付着部で、上腕三頭筋長頭ではありません。

SLAP損傷(superior labrum anterior and posterior lesion)は、関節窩上方の関節唇が上腕二頭筋長頭腱の付着部を含めて前後方向に剥離する病態です。投球動作の減速期に長頭腱が関節唇を引きはがす力、あるいは転倒して手をついた際の圧迫・牽引で生じ、投球時痛や引っかかり感、クランクテストなどで疼痛が誘発されます。上腕三頭筋長頭は肩甲骨の関節下結節(関節窩の下方)に付着する筋で、上方関節唇の病態には関与しません。「上方の関節唇=二頭筋長頭腱」と付着関係で結びつけておけば判別できます。

✓ 4. これが誤り(答え)
SLAP 損傷は上腕三頭筋長頭の拘縮を合併する。
SLAP損傷で問題になるのは上方関節唇と上腕二頭筋長頭腱の付着部です。上腕三頭筋長頭は関節下結節に付着し、この損傷の病態とは結びつきません。
✗ 1. 正しい記述(答えではない)
上腕二頭筋長頭腱損傷は結節間溝部での断裂が多い。
長頭腱は結節間溝で走行の向きを変え、骨と横上腕靱帯にはさまれて摩擦を受けます。ここで変性が進み断裂すると、上腕前面に筋腹が落ちるポパイ徴候がみられます。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
動揺性肩関節の検査にサルカス徴候がある。
上肢を下方に牽引したとき肩峰下に溝(sulcus)ができれば、下方への不安定性を示す所見として陽性と判断します。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
内側型野球肘は遅発性尺骨神経麻痺を生じる。
(「尺骨神経麻」は「尺骨神経麻痺」の脱字と解されます。)投球の外反ストレスで内側支持機構が緩み、外反変形や骨棘・瘢痕により肘部管の尺骨神経が年余を経て障害されます(遅発性尺骨神経麻痺)。

対応としては、投球障害では患部の安静に加えて肩甲帯・体幹・下肢を含む投球動作全体を見直し、復帰の段階づけを行います。改善しない例や不安定性が強い例は画像評価のため医師へ紹介します。

ポイント
  • SLAP損傷=上方関節唇の前後方向への剥離。関与するのは上腕二頭筋長頭腱の付着部。
  • 上腕三頭筋長頭は関節下結節に付着し、SLAP損傷の病態には関与しない。
  • 上腕二頭筋長頭腱断裂は結節間溝部に多く、ポパイ徴候を示す。
  • サルカス徴候は下方不安定性(動揺性肩関節)の所見。
  • 内側型野球肘は遅発性尺骨神経麻痺を生じうるため、経過中もしびれ・筋力を確認する。
比較表
損傷部位特徴的所見
SLAP損傷上方関節唇+上腕二頭筋長頭腱付着部投球時痛、引っかかり感、クランクテスト
上腕二頭筋長頭腱断裂結節間溝部ポパイ徴候(上腕前面の筋腹の膨隆)
動揺性肩関節関節包・関節唇の弛緩サルカス徴候
内側型野球肘肘内側(内側側副靱帯・内側上顆)外反ストレス痛、遅発性尺骨神経麻痺
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