学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §20 各論(脱臼) 下肢 / QJ28P099

理由で解く 柔道整復師

QJ28P099 柔道整復理論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問99
問題
膝関節前方脱臼で正しいのはどれか。
選択肢
1 膝関節屈曲位で発生する。
2 不全脱臼となることが多い。
3 血管損傷に注意する。
4 膝蓋骨骨折を合併する。
解答
正解3(血管損傷に注意する。)
解説

正しいのは3です。膝関節脱臼では膝窩動脈損傷を伴うことがあり、血行の確認が最優先になります。

膝関節前方脱臼は、膝が過伸展を強制されて後方の関節包と十字靱帯が破綻し、脛骨が前方へ転位して生じます。膝窩部では膝窩動脈が上下で固定されて逃げ場がないため、過伸展や大きな転位で牽引・断裂・内膜損傷を受けやすい構造です。外観が整復されて落ち着いていても、内膜損傷から遅れて血栓性の閉塞をきたすことがあるため、足背動脈・後脛骨動脈の拍動、皮膚色、感覚を繰り返し確認します。総腓骨神経麻痺の合併も少なくありません。

✓ 3. 正しい(答え)
血管損傷に注意する。
膝窩動脈損傷は下肢の切断につながりうる重大な合併症です。末梢の拍動・皮膚色・感覚を評価し、疑えば直ちに医師へ搬送します。時間とともに変化するため、一度の確認で終わらせず繰り返し観察します。
✗ 1. 誤り(答えではない)
膝関節屈曲位で発生する。
前方脱臼は膝の過伸展が強制されて起こります。屈曲位で脛骨近位前面に後方への外力を受けた場合は後方脱臼(ダッシュボード損傷型)となり、機転が異なります。
✗ 2. 誤り(答えではない)
不全脱臼となることが多い。
脛骨が前方へ大きく転位するには、十字靱帯を含む複数の靱帯と関節包が広範に断裂する必要があり、完全脱臼となります。関節面がわずかにずれるだけの不全脱臼で済む損傷ではありません。
✗ 4. 誤り(答えではない)
膝蓋骨骨折を合併する。
典型的に伴うのは十字靱帯・側副靱帯の断裂、膝窩動脈損傷、総腓骨神経麻痺です。膝蓋骨骨折が特徴的な合併症として挙がる損傷ではありません。

対応としては、患肢を安静に保って搬送を優先し、末梢循環と神経所見を経時的に記録して医師に引き継ぎます。

ポイント
  • 膝関節前方脱臼は過伸展強制で発生。屈曲位での前方からの外力は後方脱臼になる。
  • 十字靱帯を含む複数靱帯・関節包の広範な断裂を伴う完全脱臼となる。
  • 最も警戒すべき合併症は膝窩動脈損傷。切断につながりうる。
  • 内膜損傷は遅れて閉塞を起こすため、末梢動脈拍動・皮膚色・感覚を繰り返し確認する。
  • 総腓骨神経麻痺(下垂足)の合併も多い。整復の可否より搬送を優先する場面がある。
比較表
項目前方脱臼後方脱臼
受傷機転膝の過伸展強制屈曲位で脛骨近位前面に後方への外力
脛骨の転位前方後方
靱帯損傷後方関節包・十字靱帯など広範後十字靱帯を中心に広範
主な合併症膝窩動脈損傷、総腓骨神経麻痺(いずれの型でも要警戒)
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