学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §15 各論(骨折) 頭部・体幹 / QJ28P084

理由で解く 柔道整復師

QJ28P084 柔道整復理論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問84
問題
下位胸椎椎体圧迫骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 椎体後方が圧迫変形する。
2 多くの場合徒手整復を必要とする。
3 棘突起部に叩打痛を認める。
4 脊髄損傷を合併しやすい。
解答
正解3(棘突起部に叩打痛を認める。)
解説

椎体圧迫骨折では、損傷した椎体の高さの棘突起に叩打痛を認めます。これが最も再現性の高い、確かめやすい所見です。

胸腰椎移行部は、肋骨で支えられて可動性の少ない胸椎から、可動性の大きい腰椎へ移り変わる力学的な境目にあたり、尻もちのような屈曲圧迫力が集中します。この力は椎体の前方(前柱)を楔状に押し潰し、後壁は保たれることが多いため、単純な圧迫骨折では脊髄・馬尾の損傷はまれです。臨床所見としては、起き上がりや寝返りで強い痛みが走り、立位・座位で増強して臥位で軽くなること、体幹の前屈で痛みが強まること、そして棘突起を叩くと響くような痛みが出ることが手がかりになります。治療は原則として保存療法で、体幹の固定(コルセット等)と痛みに応じた早期離床を組み合わせます。徒手整復は行いません。変形が進行するもの、下肢の痺れや筋力低下・膀胱直腸障害があるもの、破裂骨折が疑われるものは、直ちに医師の診断につなぎます。高齢者では軽微な外力でも生じるため、骨粗鬆症の評価と転倒予防まで含めて考える必要があります。

✓ 3. 正しい
棘突起部に叩打痛を認める。
損傷した椎体の高さの棘突起を叩くと、深部に響く痛みが誘発されます。限局性圧痛と合わせて、損傷高位を推定する重要な所見です。
✗ 1. 誤り
椎体後方が圧迫変形する。
屈曲圧迫力により潰れるのは椎体の前方(前柱)で、楔状に変形します。後壁まで損傷が及ぶものは破裂骨折として別に扱い、脊柱管内への骨片の突出に注意します。
✗ 2. 誤り
多くの場合徒手整復を必要とする。
多くは徒手整復を行わず、体幹の固定と疼痛に応じた早期離床で経過をみます。無理な整復操作は変形の悪化や神経損傷につながるため行いません。
✗ 4. 誤り
脊髄損傷を合併しやすい。
後壁が保たれる単純な圧迫骨折では、脊髄損傷の合併はまれです。ただし下肢の痺れや筋力低下、膀胱直腸障害があれば破裂骨折など別の病態を疑い、直ちに医師へつなぎます。
ポイント
  • 屈曲圧迫力で潰れるのは椎体の前方(前柱)。楔状変形になる。
  • 後壁が保たれるため脊髄損傷の合併はまれ。後壁に及ぶものは破裂骨折として区別する。
  • 棘突起の叩打痛と限局性圧痛が損傷高位を推定する手がかり。臥位で軽く、起き上がりで強いのが典型。
  • 治療は原則保存療法。徒手整復は行わず、体幹固定と疼痛に応じた早期離床を進める。
  • 神経症状・変形の進行・破裂骨折の疑いがあれば直ちに医師へ。高齢者では骨粗鬆症の評価と転倒予防も併せて。
比較表
項目圧迫骨折破裂骨折
損傷部位椎体前方(前柱)が楔状に圧潰、後壁は保たれる椎体後壁まで及ぶ
神経症状まれ骨片が脊柱管へ突出し、脊髄・馬尾障害を起こしうる
主な対応保存療法(体幹固定・早期離床)医師による精査、手術も検討される
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