学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §6 総論 骨折 / QJ28P073

理由で解く 柔道整復師

QJ28P073 柔道整復理論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問73
問題
急性塑性変形で正しいのはどれか。
選択肢
1 エックス線で骨折線がみられる。
2 海綿骨の微細損傷である。
3 仮骨形成がみられない。
4 自家矯正が期待できない。
解答
正解4(自家矯正が期待できない。)
解説

急性塑性変形は、小児の骨が弾性の限界を超えて弓なりに曲がったまま元に戻らなくなったものです。骨折線が写らず、自家矯正も期待しにくいため、変形が明らかなら整復の検討が必要になります。

小児の骨はコラーゲンに富み石灰化が乏しいため、成人の骨よりもよくたわみます。前腕(特に尺骨)や腓骨に長軸方向の力が加わると、皮質骨の内部に肉眼でもエックス線でも捉えられない微小な破綻が多数生じ、骨全体が曲がった位置で止まってしまいます。骨片が分離せず骨膜の連続性も保たれるため、単独の写真では骨折線を追えず、健側を並べて撮って初めて彎曲に気づくことも珍しくありません。骨膜が破れず骨折部に血腫の場もできにくいため、旺盛な仮骨は目立ちません。そして変形の主座が骨端線から離れた骨幹部にあることが多く、成長による矯正がほとんど働きません。角状変形を残すと前腕の回内外が制限され、機能障害として残る可能性があります。健側との比較で彎曲を評価し、変形が明らかなものは医師の診断のもとで整復を検討します。

✓ 4. 正しい
自家矯正が期待できない。
変形の主座が骨幹部にあり骨端線から遠いこと、骨膜が保たれ骨形成反応が乏しいことから、成長による矯正はほとんど働きません。残った彎曲は前腕の回内外制限につながるため、変形が明らかなら整復の対象になります。
✗ 1. 誤り
エックス線で骨折線がみられる。
明らかな骨折線を認めないのが本症の特徴です。皮質骨内の微小な破綻は画像に写らず、健側と並べて比較して初めて彎曲がわかることが多いため、見落としに注意します。
✗ 2. 誤り
海綿骨の微細損傷である。
塑性変形が起こるのは主に骨幹部の皮質骨です。骨幹端の海綿骨が圧潰して皮質が膨隆するのは竹節状(隆起)骨折であり、別の骨折型です。
✗ 3. 誤り
仮骨形成がみられない。
ここは教科書によって記述が分かれる点です。急性塑性変形の特徴として「骨折線を認めず、仮骨形成もみられない」と記載する教科書がある一方、彎曲の凹側に骨膜反応や軽度の仮骨をみることがあるとする記載もあります。いずれにせよ本問の核心は自家矯正の可否であり、記述の割れない選択肢4が正答になります。
ポイント
  • 急性塑性変形=小児の骨が弾性限界を超えて曲がったまま戻らない状態。前腕(特に尺骨)・腓骨に多い。
  • 骨折線は写らない。健側と比較撮影して彎曲を見つけるのが基本。
  • 主座は骨幹部の皮質骨。海綿骨が潰れる竹節状骨折、片側皮質が断裂する若木骨折とは区別する。
  • 自家矯正はほとんど期待できず、変形が残ると前腕の回内外制限につながる。
  • 仮骨形成については「みられない」と記載する教科書と、凹側の骨膜反応・軽度の仮骨に触れる教科書があり評価が割れる。本問は自家矯正の可否で判断する。
  • 変形が明らかなものは医師の診断のもとで整復を検討し、経過中は回内外の可動域を確認していく。
比較表
骨折型損傷の主座エックス線自家矯正
若木骨折皮質骨(凸側が断裂、凹側は連続)片側皮質の不完全な骨折線期待できる
竹節状(隆起)骨折骨幹端の海綿骨皮質の膨隆・隆起期待できる
急性塑性変形骨幹部の皮質骨(骨全体の彎曲)骨折線を認めない期待しにくい
骨端線離開成長軟骨板(肥大軟骨層)骨端線の開大・骨片型(Salter-Harris分類)による
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