学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §6 総論 骨折 / QJ28P074

理由で解く 柔道整復師

QJ28P074 柔道整復理論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問74
問題
小児の骨で正しいのはどれか。
選択肢
1 肥大軟骨層で離開しやすい。
2 類骨はコラーゲンが少ない。
3 石灰化密度が高い。
4 骨膜が薄い。
解答
正解1(肥大軟骨層で離開しやすい。)
解説

成長軟骨板のなかで肥大軟骨層は細胞が膨らんで基質が最も乏しく、力学的に最も弱い層です。骨端線離開はここで起こります。

成長軟骨板は骨端側から順に、静止(予備)軟骨層、増殖軟骨層、肥大軟骨層、石灰化層と並びます。肥大軟骨層では軟骨細胞が大きく膨らみ、そのぶん細胞と細胞の間を埋める基質が最も少なくなります。基質こそが力を受け止める構造なので、この層は剪断力や牽引力に対して周囲より脆弱になります。その結果、成人なら靱帯が断裂するような外力でも、小児では靱帯より先に骨端線が離開します。血行は骨端側から成長軟骨板へ供給されるため、肥大軟骨層での離開は増殖層と血行を残しやすく、成長障害を残しにくい型になります。逆にSalter-Harris分類のⅣ型・Ⅴ型のように増殖層まで損傷が及ぶと、成長障害や変形を残す危険があります。なお成長軟骨板は成長の終了とともに閉鎖し、成人では骨端線という痕跡を残すだけになるため、骨端線離開は小児に固有の損傷です。小児の骨にはほかにも、類骨が多くコラーゲンに富んで弾性が高い、石灰化が少ない、骨膜が厚く強靭で剥離しやすいが破れにくい、といった特徴があり、これが若木骨折や急性塑性変形、旺盛な仮骨形成と自家矯正の土台になっています。

✓ 1. 正しい
肥大軟骨層で離開しやすい。
軟骨細胞が膨大して細胞間基質が最も少なくなる層であり、力学的に最も弱くなります。骨端線離開はこの層を通って生じます。
✗ 2. 誤り
類骨はコラーゲンが少ない。
逆です。類骨は石灰化する前の有機質の骨基質で、コラーゲン(膠原線維)に富みます。小児はこの類骨の割合が高いため、骨がたわむ性質をもちます。
✗ 3. 誤り
石灰化密度が高い。
小児は石灰塩の沈着が少なく、密度は低めです。だからこそ折れきらずに曲がる若木骨折や急性塑性変形が起こります。石灰化密度は加齢とともに高まり、骨は硬いが脆くなります。
✗ 4. 誤り
骨膜が薄い。
小児の骨膜は厚く強靭で血行に富みます。骨から剥がれやすい一方で破れにくく、骨片を包み込んで転位を防ぎ、旺盛な仮骨形成の源にもなります。
ポイント
  • 成長軟骨板は骨端側から静止(予備)・増殖・肥大・石灰化の4層。最も弱いのは細胞間基質の乏しい肥大軟骨層。
  • 小児では靱帯より骨端線のほうが弱い。捻挫に見える外傷でも骨端線離開を疑う。
  • 成長軟骨板は成長終了とともに閉鎖し、成人では骨端線として痕跡を残すのみ。したがって骨端線離開は小児に固有の損傷。
  • 増殖層まで及ぶ損傷(Salter-Harris Ⅳ型・Ⅴ型)は成長障害を残しうるため、経過観察が重要。
  • 小児の骨は類骨が多くコラーゲンに富み、石灰化が少なく、骨膜が厚い。これが弾性・旺盛な仮骨・高い自家矯正力につながる。
比較表
項目小児の骨成人の骨
類骨・コラーゲン多く、線維に富む相対的に少ない
石灰化密度低い(たわむ)高い(硬いが脆い)
骨膜厚く強靭、剥離しやすいが破れにくい薄い
成長軟骨板開存している(肥大軟骨層が最も弱く、骨端線離開が起こる)閉鎖している(骨端線として痕跡を残す)
仮骨形成・自家矯正旺盛乏しい
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