学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §6 総論 骨折 / QJ28P075

理由で解く 柔道整復師

QJ28P075 柔道整復理論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問75
問題
高齢者骨折の続発症で起こりにくいのはどれか。
選択肢
1 褥瘡
2 誤嚥性肺炎
3 尿路感染
4 外傷性皮下気腫
解答
正解4(外傷性皮下気腫)
解説

設問は「起こりにくいもの」を探す形式です。高齢者の骨折で問題になる続発症は臥床と全身機能の低下から生まれます。外傷性皮下気腫は空気の漏れであり、この経路では起こりません。

高齢者が大腿骨近位部骨折や脊椎圧迫骨折を負うと、痛みと固定で臥床期間が延び、そこから全身に連鎖が起こります。仙骨部・踵部など骨の突出部が持続的に圧迫されて血流が途絶えれば褥瘡ができます。臥位が続いて嚥下機能と咳嗽力が落ちれば、唾液や食物の誤嚥から誤嚥性肺炎、換気の乏しい背側の肺に痰が貯まって沈下性肺炎が生じます。排尿の自立が失われ膀胱留置カテーテルが入れば尿路感染の危険が高まります。ほかにも深部静脈血栓症と肺塞栓、廃用による筋力低下、せん妄や認知機能の低下が同じ経路で起こります。いずれも「動かないこと」が原因なので、対策も共通しています。体位変換と除圧、座位での食事と口腔ケア、十分な水分摂取、そして何より痛みを抑えたうえでの早期離床です。一方、外傷性皮下気腫は肋骨骨折に伴う肺・胸膜の損傷や気道・食道の損傷で空気が皮下組織へ漏れ出た状態であり、受傷機転そのものに由来する併発症です。加齢や臥床とは結びつきません。

✓ 4. これが答え(起こりにくい)
外傷性皮下気腫
肺・胸膜や気道の損傷で空気が皮下に漏れることで生じます。受傷時の損傷部位で決まる併発症であり、高齢・臥床から二次的に生じる続発症ではありません。触れると握雪感があり、これを認めたら胸部の重篤な損傷を疑って直ちに医師へつなぎます。
✗ 1. 答えではない(起こりやすい)
褥瘡
臥床で仙骨部・踵部・大転子部などが持続的に圧迫され、血流が途絶えて生じます。定期的な体位変換と除圧、皮膚の観察で予防します。
✗ 2. 答えではない(起こりやすい)
誤嚥性肺炎
嚥下機能と咳嗽力の低下、臥位での食事が重なって生じます。可能な範囲で座位をとって食事し、口腔ケアを続けることが予防になります。
✗ 3. 答えではない(起こりやすい)
尿路感染
排尿の自立が失われ、膀胱留置カテーテルが長期に入ることで危険が高まります。十分な飲水と早期のカテーテル抜去、発熱の観察が大切です。
ポイント
  • 高齢者骨折の続発症は「動かないこと」から生まれる。褥瘡・誤嚥性肺炎(沈下性肺炎)・尿路感染が代表。
  • ほかに深部静脈血栓症と肺塞栓、廃用症候群、せん妄・認知機能低下も同じ経路。
  • 外傷性皮下気腫は肺・胸膜・気道の損傷による併発症。握雪感を認めたら直ちに医師へ。
  • 対策は共通して早期離床。体位変換・除圧、座位での食事と口腔ケア、十分な飲水を組み合わせる。
  • 続発症(時間経過とともに二次的に生じる)と併発症(受傷と同時に生じる)を分けて整理すると混乱しない。
比較表
区分成り立ち
続発症褥瘡、誤嚥性肺炎・沈下性肺炎、尿路感染、深部静脈血栓症、廃用症候群長期臥床と全身機能の低下から二次的に生じる
併発症外傷性皮下気腫、血気胸、血管・神経損傷受傷時の外力で骨片や外力そのものが周囲組織を傷つける
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。