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理由で解く 柔道整復師

QJ28P071 柔道整復理論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問71
問題
柔道整復施術の対象となるのはどれか。
選択肢
1 遠位骨片が外旋している上腕骨骨幹部骨折
2 腋窩動脈損傷を伴った肩関節脱臼
3 足先に感染創のある下腿打撲
4 偽関節となった第5中足骨骨折
解答
正解1(遠位骨片が外旋している上腕骨骨幹部骨折)
解説

柔道整復の施術対象になるかどうかは「徒手的な整復・固定で対応できるか」「放置すると生命や肢の予後を損なわないか」の2点で判断します。骨片が回旋しているだけの上腕骨骨幹部骨折はこの条件を満たします。

柔道整復師の業務は骨折・脱臼・打撲・捻挫の施術で、骨折と脱臼については応急手当の場合を除き医師の同意を得て施術します(柔道整復師法第17条)。この枠の中で対象を絞る鍵は、血流障害・感染・骨癒合の停止という3つの状態です。血管損傷は時間との勝負であり、整復操作でかえって損傷を広げる危険があります。感染創は抗菌薬や創処置といった医師の治療が必要で、固定で覆えば悪化しかねません。骨癒合が止まってしまった状態は、いくら固定を続けても癒合に転じません。いずれも徒手整復と固定という手段では解決できない問題です。一方、骨片の回旋や側方への転位は、まさに整復操作で戻すべき対象であり、固定で保持できます。上肢の骨幹部骨折では橈骨神経の走行が近いため、施術の前後で手関節・手指の伸展と手背橈側の感覚を必ず確認し、異常があれば医師へつなぎます。

✓ 1. これが対象となる
遠位骨片が外旋している上腕骨骨幹部骨折
回旋転位は徒手整復で戻し、固定で保持できる転位です。血管・神経・皮膚の状態が保たれていれば柔道整復の守備範囲に入ります。上腕骨骨幹部では橈骨神経麻痺の合併に注意し、施術前後で下垂手の有無と手背橈側の感覚を確認したうえで、応急手当を除き医師の同意を得て施術します。
✗ 2. 対象とならない
腋窩動脈損傷を伴った肩関節脱臼
主要血管の損傷を合併しており、末梢の血流が絶たれれば上肢の予後に直結します。橈骨動脈の拍動・皮膚の色調・冷感・しびれを確認し、患肢を安静に保ったまま整復を試みず、直ちに医師の診療につなぎます。
✗ 3. 対象とならない
足先に感染創のある下腿打撲
感染創の治療は医師が行う領域です。包帯や固定で覆うと感染の悪化に気づきにくくなるため、創部の状態・発赤・熱感・全身の発熱を確認して医師の治療につなぎ、打撲部の施術はその指示のもとで検討します。
✗ 4. 対象とならない
偽関節となった第5中足骨骨折
骨癒合が得られないまま経過した状態を指す選択肢と読めます。骨癒合の停止した骨折は固定を続けても癒合に転じないため、観血療法の適応となることが多く、医師の診断につなぎます。
ポイント
  • 柔道整復の対象は骨折・脱臼・打撲・捻挫。骨折・脱臼の施術は応急手当を除き医師の同意が必要(柔道整復師法第17条)。
  • 「徒手整復と固定で解決できるか」が判断の軸。血管損傷・感染・骨癒合の停止はいずれも解決できない。
  • 血管損傷を疑ったら整復を試みず、末梢の拍動・色調・冷感・感覚を確認して直ちに医師へ。
  • 上腕骨骨幹部骨折では橈骨神経麻痺の合併を、施術の前後で下垂手と手背橈側の感覚により確認する。
  • 回旋・側方転位そのものは整復の対象。転位があること自体は対象外の理由にならない。
比較表
状態とるべき対応理由
骨片の回旋・側方転位がある骨折整復・固定(応急手当を除き医師の同意を得る)徒手操作で戻し、固定で保持できる
主要血管の損傷を合併整復せず直ちに医師へ時間経過で肢の予後が悪化する
感染創がある医師の治療につなぐ創処置・抗菌療法が必要で、固定は悪化を隠す
骨癒合が停止した骨折医師の診断へ(観血療法の適応が多い)固定を続けても癒合しない
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