学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §9 総論 軟部組織損傷 / QJ28P069

理由で解く 柔道整復師

QJ28P069 柔道整復理論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問69
問題
手掌橈側に感覚障害を生じるのはどれか。
選択肢
1 筋皮神経損傷
2 橈骨神経損傷
3 正中神経損傷
4 尺骨神経損傷
解答
正解3(正中神経損傷)
解説

手掌の橈側、つまり母指から環指の橈側半にかけての掌側の皮膚感覚は正中神経が担当します。

正中神経は前腕を下行し、手根管を通って手掌に出たあと固有掌側指神経に分かれ、母指・示指・中指と環指の橈側半の掌側、およびそれらの指背の末節部を支配します。手根管に入る手前で分かれる掌枝が母指球部の皮膚を支配するため、手根管症候群では母指球の感覚が保たれるのが特徴で、これが高位の正中神経損傷との鑑別点になります。上肢の感覚支配は「掌側か背側か」「橈側か尺側か」の2軸で分けると混同しません。掌側・橈側が正中神経、掌側・尺側と背側・尺側が尺骨神経、背側・橈側が橈骨神経、前腕の外側の皮膚が筋皮神経(外側前腕皮神経)です。感覚障害の範囲を確かめるときは、健側と比べながら触覚・痛覚を左右対称の部位で順に確認します。

✓ 3. 正しい
正中神経損傷
手掌橈側(母指・示指・中指と環指橈側半)の掌側の感覚を支配するのが正中神経です。運動では母指対立筋を含む母指球筋が麻痺し、進行すると母指球が痩せて猿手を呈します。
✗ 1. 誤り
筋皮神経損傷
終枝の外側前腕皮神経となり、前腕の外側(橈側)の皮膚を支配します。感覚障害は前腕どまりで手掌には及びません。運動では上腕二頭筋・上腕筋が麻痺し、肘屈曲力と前腕回外力が低下します。
✗ 2. 誤り
橈骨神経損傷
浅枝が手背の橈側と母指から中指の背側を支配します。障害されるのは背側であって掌側ではありません。運動では手関節・手指の伸展ができなくなり、下垂手を呈します。
✗ 4. 誤り
尺骨神経損傷
手掌・手背とも尺側、すなわち小指と環指の尺側半を支配します。橈側ではありません。運動では骨間筋・虫様筋が麻痺し、環指・小指の変形(鷲手)やフローマン徴候がみられます。
ポイント
  • 手掌の橈側3本半(母指〜環指橈側半)の掌側=正中神経。手の尺側1本半=尺骨神経。手背の橈側=橈骨神経。
  • 正中神経の掌枝は手根管の手前で分岐するため、手根管症候群では母指球の感覚が残る。
  • 筋皮神経の感覚領域は前腕外側の皮膚まで。手には届かない。
  • 運動麻痺とセットで覚える:正中=猿手、橈骨=下垂手、尺骨=鷲手。
  • 感覚検査は必ず健側と左右対称の部位で比較し、範囲を記録しておく。
比較表
神経感覚障害の部位代表的な運動障害
筋皮神経前腕の外側(橈側)の皮膚肘屈曲・前腕回外の筋力低下
橈骨神経手背の橈側、母指〜中指の背側下垂手(手関節・手指の伸展不能)
正中神経手掌の橈側(母指〜環指橈側半)の掌側猿手(母指対立不能)
尺骨神経手掌・手背の尺側(小指と環指尺側半)鷲手、フローマン徴候
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