学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 整形外科学 ▸ §25 臨床実地問題 / QJ28P067
理由で解く 柔道整復師
ピロン骨折後、半日という短時間で創部痛の増強に加えて足の感覚障害が出てきた経過は、下腿前方コンパートメント症候群を強く示唆します。ここを走る深腓骨神経の固有支配領域は母趾と第2趾の間の背側で、この部位に感覚障害が出ます。
ピロン骨折は脛骨遠位の関節内骨折で、高エネルギー外力により軟部組織の損傷と腫脹が強く出るため、コンパートメント症候群の合併に注意が必要です。閉鎖された筋区画の内圧が上がると、まず細い神経線維と毛細血管の循環が障害されるので、脈拍が触れるうちから疼痛の増強と感覚障害が現れます。下腿前方コンパートメントには前脛骨筋・長母趾伸筋・長趾伸筋と深腓骨神経が入っており、深腓骨神経は運動枝で足関節と足趾の背屈を担い、感覚枝は第1・第2趾間の背側という狭い範囲だけを固有に支配します。したがって、この部位のしびれ・感覚鈍麻は前方コンパートメントの警告サインとして最も早く現れる所見のひとつです。骨折の程度に不釣り合いな痛み、足趾を他動的に底屈させたときの下腿前面の強い痛み(passive stretch pain)を認めたら、ただちに包帯・シーネを緩め、患肢を心臓と同じ高さに保ち(挙上しすぎると灌流圧が下がります)、内圧測定と緊急筋膜切開ができる医療機関へ速やかにつなぎます。
| 感覚障害の部位 | 支配神経 | コンパートメント |
|---|---|---|
| 母趾・第2趾間の背側 | 深腓骨神経 | 前方 |
| 足背の大部分・前足部内側 | 浅腓骨神経 | 外側 |
| 足底(内側・外側) | 脛骨神経(内側/外側足底神経) | 後方深層 |
| 後足部・足外側縁 | 腓腹神経 | 後方浅層 |
| 下腿内側・内果周囲 | 伏在神経 | (大腿神経枝) |
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