学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §18 部位別各論 前腕 / QJ28P064

理由で解く 柔道整復師

QJ28P064 整形外科学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問64
問題
フォルクマン(Volkmann)拘縮で生じない変形はどれか。
選択肢
1 前腕回内
2 IP 関節屈曲
3 母指橈側外転
4 第2~5MP 関節過伸展
解答
正解3(母指橈側外転)
解説

フォルクマン拘縮は前腕屈筋群が阻血性壊死に陥り、瘢痕化して短縮する後遺症です。母指は手掌に引き込まれる内転位、示指〜小指はMP関節過伸展+IP関節屈曲で固まるのが典型で、母指が橈側に開く橈側外転だけは生じません。

典型的には小児の上腕骨顆上骨折後、腫脹やきつい固定によって前腕の深層コンパートメント内圧が上がり、長母指屈筋や深指屈筋が壊死して短縮します。短縮した屈筋腱に引かれるため、前腕は回内、手関節は掌屈、母指は内転位、示指〜小指はMP関節過伸展・PIP/DIP関節屈曲という特有の肢位(鷲手に似た肢位)になります。母指は長母指屈筋の短縮と母指内転筋の拘縮で手掌に引き込まれるので、橈側へ開く(橈側外転)方向にはなりません。最も大切なのは発症させないことで、受傷後の激しい痛み、他動的な指伸展での痛み(passive stretch pain)、蒼白、脈拍消失、感覚障害を認めたら、ただちに固定を緩めて患肢を心臓の高さに保ち、緊急対応のできる医療機関へつなぎます。

✓ 3. 生じない変形(これが答え)
母指橈側外転
フォルクマン拘縮では長母指屈筋の短縮と母指内転筋の拘縮により、母指は手掌に引き込まれる内転位をとります。橈側へ開く橈側外転位にはならないため、これが「生じない変形」として正解です。
✗ 1. 生じる(答えではない)
前腕回内
円回内筋を含む前腕屈筋群の瘢痕化により、前腕は回内位に固定されます。回外制限は日常生活動作(手のひらを上に向ける動作)を大きく妨げます。
✗ 2. 生じる(答えではない)
IP 関節屈曲
深指屈筋・浅指屈筋の短縮により、PIP・DIP関節は屈曲位に拘縮します。手関節を背屈させると指の屈曲がさらに強まる(腱固定効果)のが特徴的な所見です。
✗ 4. 生じる(答えではない)
第2~5MP 関節過伸展
屈筋腱に引かれた指の肢位と内在筋の機能低下により、MP関節は過伸展位、IP関節は屈曲位という鷲手様の変形をとります。この組合せがフォルクマン拘縮の典型肢位です。
ポイント
  • フォルクマン拘縮=前腕屈筋群の阻血性壊死→瘢痕短縮。小児の上腕骨顆上骨折後が代表。
  • 典型肢位=前腕回内・手関節掌屈・母指内転・MP過伸展・IP屈曲。母指は開かない。
  • 手関節を背屈させると指屈曲が強まる(腱固定効果)=拘縮の存在を示す所見。
  • 前駆症状は5P(疼痛・蒼白・脈拍消失・感覚異常・麻痺)と他動伸展時痛。痛みの訴えが最も早い。
  • 疑ったら固定を緩め、患肢を心臓の高さに保ち(挙上しすぎない)、直ちに医療機関へつなぐ。
比較表
変形母指の位置MP関節IP関節原因
フォルクマン拘縮拘縮による内転(手掌へ引き込まれる)過伸展屈曲前腕屈筋群の阻血性壊死
鷲手(尺骨神経麻痺)麻痺により内転できない(母指内転筋麻痺=Froment徴候)。対立は正中神経支配のため保たれる過伸展(環・小指)屈曲骨間筋・虫様筋の麻痺
猿手(正中神経麻痺)対立不能・母指球萎縮母指球筋の麻痺
下垂手(橈骨神経麻痺)外転不能伸展不能伸筋群の麻痺
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