学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §21 部位別各論 骨盤・股関節 / QJ28P065

理由で解く 柔道整復師

QJ28P065 整形外科学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問65
問題
スポーツによる骨盤周囲の裂離骨折と起因筋腱の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 上前腸骨棘-大腿直筋
2 下前腸骨棘・ハムストリングス
3 大腿骨大転子-大殿筋
4 大腿骨小転子-腸腰筋
解答
正解4(大腿骨小転子-腸腰筋)
解説

骨盤・大腿骨近位部の裂離骨折は「どの筋がどこに付くか」で決まります。腸腰筋は大腿骨小転子に停止するため、小転子裂離骨折と腸腰筋の組合せが正しい記述です。

成長期は骨端核(成長軟骨)が力学的に弱く、筋腱の急激な収縮で付着部が剥がれます。短距離走のスタートやキック動作で、上前腸骨棘には縫工筋と大腿筋膜張筋、下前腸骨棘には大腿直筋、坐骨結節にはハムストリングス、恥骨には内転筋群、そして大腿骨小転子には腸腰筋が牽引をかけます。したがって上前腸骨棘=縫工筋、下前腸骨棘=大腿直筋、坐骨結節=ハムストリングス、小転子=腸腰筋という対応を丸ごと覚えておくと、この形式の問題は確実に得点できます。なお大腿骨大転子には中殿筋・小殿筋・外旋筋群が付着し、大殿筋の主な停止は殿筋粗面と腸脛靱帯です。転位が小さければ安静・免荷と段階的な運動再開で保存的に治りますが、転位が大きい坐骨結節裂離などは手術が検討されるため、股関節周囲の急な痛みでは画像評価につなぎます。

✓ 4. 正しい
大腿骨小転子-腸腰筋
腸腰筋(大腰筋+腸骨筋)は大腿骨小転子に停止します。股関節を強く屈曲させる動作で小転子が裂離することがあり、組合せとして正しい記述です。なお成人で外傷なく小転子が剥がれた場合は病的骨折(腫瘍の骨転移など)を疑う必要があります。
✗ 1. 誤り
上前腸骨棘-大腿直筋
上前腸骨棘に付着するのは縫工筋と大腿筋膜張筋です。大腿直筋が付くのは下前腸骨棘なので、組合せが入れ替わっています。
✗ 2. 誤り
下前腸骨棘・ハムストリングス
下前腸骨棘は大腿直筋の付着部です。ハムストリングス(大腿二頭筋長頭・半腱様筋・半膜様筋)が付くのは坐骨結節で、ハードルやキック動作で坐骨結節裂離骨折を起こします。
✗ 3. 誤り
大腿骨大転子-大殿筋
大転子に停止するのは中殿筋・小殿筋と深層外旋筋群です。大殿筋は主に大腿骨の殿筋粗面と腸脛靱帯に停止するため、組合せが一致しません。
ポイント
  • 上前腸骨棘=縫工筋・大腿筋膜張筋/下前腸骨棘=大腿直筋
  • 坐骨結節=ハムストリングス/恥骨=内転筋群/小転子=腸腰筋
  • 大転子=中殿筋・小殿筋・外旋筋群。大殿筋は殿筋粗面・腸脛靱帯。
  • 裂離骨折は成長期に多い。骨端核が力学的に弱いため。
  • 成人で誘因のない小転子裂離は病的骨折を疑い、必ず精査につなぐ。
比較表
裂離部位牽引する筋典型的な動作
上前腸骨棘縫工筋・大腿筋膜張筋スタートダッシュ
下前腸骨棘大腿直筋キック動作
坐骨結節ハムストリングスハードル、開脚、ダッシュ
恥骨(下枝)内転筋群サッカーのインサイドキック
大腿骨小転子腸腰筋急激な股関節屈曲
腸骨稜腹筋群(外腹斜筋など)体幹の急な回旋
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