学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §20 部位別各論 手・手指 / QJ34P064

理由で解く 柔道整復師

QJ34P064 整形外科学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問64
問題
デュピュイトラン(Dupuytren)拘縮で正しいのはどれか。
選択肢
1 女性に多い。
2 手掌に発生する。
3 夜間痛がみられる。
4 ステロイドの局所注射が著効する。
解答
正解2(手掌に発生する。)
解説

デュピュイトラン拘縮は、手掌腱膜が線維性に肥厚・短縮して索状物(コード)を作り、指が伸ばせなくなる疾患です。発生部位は手掌なので、正答は2です。

病変の主座が「腱ではなく腱膜」である点が、この疾患を理解する鍵です。手掌腱膜の筋線維芽細胞が増殖してコラーゲンを過剰に産生し、皮下に硬い結節と索状の隆起が生じます。索が縦に短縮するにつれて指はMP関節、続いてPIP関節が屈曲位に引き込まれ、机に手掌を平らに置けなくなります(テーブルトップテスト陽性)。障害されるのは環指と小指が多く、経過は数年単位でゆっくり進行します。腱そのものの炎症ではないので、腱鞘炎のような運動時の疼痛や夜間痛は通常みられず、患者の訴えは「痛みはないが伸びない」という機能障害が中心です。中高年の男性、欧米人に多く、糖尿病、アルコール多飲、てんかん治療薬との関連が指摘されています。治療は、拘縮が軽度なら経過観察、機能障害が強ければ腱膜切除術が基本で、注射による索の溶解や経皮的な腱膜切離が行われることもあります。装具や徒手的な伸張だけでは索は改善しないため、日常生活に支障が出ている段階では医療機関での手術的治療の相談を勧めます。

✓ 2. 正しい
手掌に発生する。
病変は手掌腱膜に生じます。手掌、とくに環指・小指の基部に硬い結節と索状物が触れ、皮膚が引き込まれてくぼみます。索が短縮するとMP関節・PIP関節が屈曲拘縮を起こし、手掌を平らに接地できなくなります。
✗ 1. 誤り
女性に多い。
中高年の男性に多い疾患です。女性に多いのは、手根管症候群、ばね指、ヘバーデン結節など、ホルモン環境の影響を受ける手の疾患であり、性差の向きを取り違えないようにします。
✗ 3. 誤り
夜間痛がみられる。
腱膜の線維性増殖であり炎症性疾患ではないため、通常は無痛性で、夜間痛はみられません。主訴は「指が伸びない」という機能障害です。夜間や明け方のしびれ・痛みで目が覚めるのは手根管症候群の特徴です。
✗ 4. 誤り
ステロイドの局所注射が著効する。
ステロイド局所注射が著効するのは、ばね指やドケルバン病といった腱鞘の炎症性疾患です。デュピュイトラン拘縮では、すでに形成された線維性の索が物理的に指を引き込んでいるため、抗炎症薬では拘縮は解けません。日常生活に支障があれば腱膜切除術などの外科的治療を検討します。
ポイント
  • 病変の主座は手掌腱膜。腱や腱鞘ではないため、通常は無痛性で夜間痛もない。
  • 環指・小指に多く、MP関節からPIP関節へと屈曲拘縮が進む。テーブルトップテスト陽性。
  • 中高年男性に多く、糖尿病・アルコール多飲・てんかん治療薬との関連が指摘される。
  • 治療は経過観察か腱膜切除術。ステロイド注射や徒手的伸張では索は改善しない。
  • 「痛くないのに伸びない指」という訴えの型で覚えると、他の手疾患と区別しやすい。
比較表
デュピュイトラン拘縮ばね指(狭窄性腱鞘炎)手根管症候群
病変部位手掌腱膜MP関節掌側のA1腱鞘手根管内の正中神経
主症状無痛性の屈曲拘縮屈伸時の疼痛と弾発現象母指〜環指橈側のしびれ、夜間増悪
好発中高年男性中年女性、糖尿病中年女性、妊娠期、透析患者
ステロイド注射効果は期待できない著効する一時的に有効なことがある
手術腱膜切除術腱鞘(A1)切開手根管開放術
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