学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §22 部位別各論 大腿・膝関節 / QJ34P065

理由で解く 柔道整復師

QJ34P065 整形外科学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問65
問題
鵞足炎に関与するのはどれか。
選択肢
1 半膜様筋
2 大腿直筋
3 縫工筋
4 大内転筋
解答
正解3(縫工筋)
解説

鵞足は、縫工筋・薄筋・半腱様筋の停止腱が脛骨近位内側で扇状に重なった部分で、その形がガチョウの足に似ることから名づけられました。選択肢のうち鵞足を構成するのは縫工筋なので、正答は3です。

3つの筋は起始も支配神経も異なるのに、停止だけが一か所に集まるという特殊な構造をしています。縫工筋は上前腸骨棘から(大腿神経)、薄筋は恥骨下枝から(閉鎖神経)、半腱様筋は坐骨結節から(脛骨神経)起こり、いずれも脛骨粗面の内側に停止します。表層から縫工筋・薄筋・半腱様筋の順に重なり、その深部には鵞足包(滑液包)があります。3つとも膝関節をまたぐ屈筋であり、同時に下腿の内旋にも働くため、ランニングでの急な方向転換や、平泳ぎのキックのように膝を屈曲しながら外反・外旋を強いる動作を繰り返すと、腱と骨・滑液包の間で摩擦が起こって鵞足炎を生じます。膝関節裂隙より2〜3横指ほど遠位の内側に限局した圧痛があること、抵抗下の膝屈曲で痛みが誘発されることが手がかりで、関節裂隙そのものの圧痛が中心となる内側半月板損傷や内側側副靱帯損傷との区別に役立ちます。対応は、練習量の調整とアイシングに加え、ハムストリングスや内転筋群のストレッチ、股関節外転筋の強化、シューズや走路の見直しといった再発予防までを含めて行います。

✓ 3. 正しい
縫工筋
縫工筋は上前腸骨棘から起こり、大腿前面を斜めに下って脛骨粗面内側に停止する、鵞足の最も表層の構成筋です。薄筋・半腱様筋とともに鵞足を作り、この部の摩擦性炎症が鵞足炎です。
✗ 1. 誤り
半膜様筋
半膜様筋は脛骨内側顆の後面に停止し、鵞足には加わりません。鵞足を構成するハムストリングスは半腱様筋のほうです。名前が似ているため、「半腱様筋は鵞足へ、半膜様筋は内側顆後面へ」と対で覚えます。
✗ 2. 誤り
大腿直筋
大腿直筋は大腿四頭筋の一つで、他の3頭とともに膝蓋腱となって脛骨粗面(前面)に停止します。停止部は鵞足より近位かつ正中寄りで、鵞足には関与しません。
✗ 4. 誤り
大内転筋
大内転筋は大腿骨の粗線と内転筋結節に停止する股関節の内転筋で、脛骨には付着しません。同じ内転筋群でも、鵞足に加わるのは薄筋のみです。
ポイント
  • 鵞足=縫工筋・薄筋・半腱様筋の停止腱。脛骨粗面の内側に扇状に集まる。
  • 3筋の支配神経はそれぞれ大腿神経・閉鎖神経・脛骨神経と異なるのが特徴。
  • いずれも膝屈曲と下腿内旋に働き、繰り返す摩擦で鵞足包を含めた炎症が起こる。
  • 圧痛は関節裂隙より2〜3横指遠位の内側に限局。半月板・内側側副靱帯損傷との鑑別点。
  • 対応は練習量調整とアイシングに加え、ハムストリングス・内転筋群のストレッチと再発予防指導。
比較表
起始停止支配神経鵞足
縫工筋上前腸骨棘脛骨粗面内側大腿神経構成する(表層)
薄筋恥骨下枝脛骨粗面内側閉鎖神経構成する(中間)
半腱様筋坐骨結節脛骨粗面内側脛骨神経構成する(深層)
半膜様筋坐骨結節脛骨内側顆後面脛骨神経構成しない
大腿直筋下前腸骨棘脛骨粗面(膝蓋腱を介す)大腿神経構成しない
大内転筋坐骨結節・坐骨枝大腿骨粗線・内転筋結節閉鎖神経・脛骨神経構成しない
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