学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §17 部位別各論 上腕・肘関節 / QJ34P063

理由で解く 柔道整復師

QJ34P063 整形外科学

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午後 問63
問題
投球障害で正しいのはどれか。
選択肢
1 大学生では離断性骨軟骨炎が多い。
2 手術的治療を選択することが多い。
3 リトルリーグエルボーは上腕骨外顆裂離骨折である。
4 関節ねずみはロッキングを起こす。
解答
正解4(関節ねずみはロッキングを起こす。)
解説

投球障害は、投球動作の繰り返しによる肘・肩のオーバーユース障害です。剥がれた骨軟骨片が関節内遊離体(関節ねずみ)となり、関節面に挟まってロッキングを起こすため、正答は4です。

肘への負担の分かれ方を、投球時の力の向きから理解しておきます。投球の加速期には肘に外反力が加わり、内側は引き離される牽引力を、外側は押しつけられる圧迫力を、後方は肘頭が肘頭窩に衝突する剪断力を受けます。したがって内側型は上腕骨内側上顆の裂離(成長期のリトルリーグ肘)、外側型は上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎、後方型は肘頭の疲労骨折や骨棘形成として現れます。外側型の離断性骨軟骨炎は、圧迫力で軟骨下骨の血流が障害されて生じ、進行すると病巣が母床から分離・脱落します。この遊離体が関節の隙間に噛み込むと、その瞬間に伸展や屈曲が止まって動かなくなるロッキングが起こり、その後ずれると急に動くようになるのが典型的な訴えです。治療の基本は投球中止を中心とした保存療法ですが、遊離体によるロッキングを繰り返す例では鏡視下の摘出などが検討されます。柔道整復師としては、成長期選手の肘痛を「使いすぎ」で終わらせず、投球数の管理とフォーム指導を行いつつ、医療機関での画像評価につなぐことが大切です。

✓ 4. 正しい
関節ねずみはロッキングを起こす。
離断性骨軟骨炎などで母床から分離した骨軟骨片は、関節内を移動する遊離体(関節ねずみ)となります。これが関節面の間に噛み込むと、その場で運動が止まって伸展・屈曲ができなくなるロッキングが生じ、位置がずれると突然また動くようになります。可動域制限と引っかかり感を繰り返す例では遊離体を疑います。
✗ 1. 誤り
大学生では離断性骨軟骨炎が多い。
上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎は、骨端核が成熟していない成長期、おおむね小学校高学年から中学生の年代に好発します。骨端が閉鎖した大学生の年代で新たに発症することは少なく、この時期に問題となるのは、成長期に生じた病変の遺残による変形性肘関節症や遊離体です。
✗ 2. 誤り
手術的治療を選択することが多い。
原則は保存療法です。投球の一時中止による患部の安静を土台に、肩甲帯・体幹・下肢の柔軟性と筋力を改善し、フォームと投球数を見直して再発を防ぎます。手術が選ばれるのは、保存療法で改善しない例や、遊離体によるロッキングを繰り返す例など限られた場合です。
✗ 3. 誤り
リトルリーグエルボーは上腕骨外顆裂離骨折である。
リトルリーグ肘(内側型)は、外反力による牽引で前腕屈筋回内筋群が付着する上腕骨内側上顆が引き剥がされる裂離、あるいは骨端線の離開です。外顆ではなく内側上顆であること、外側では小頭の離断性骨軟骨炎が問題になることを整理しておきます。なお小児の上腕骨外顆骨折は、転倒などの外力による別の骨折です。
ポイント
  • 投球加速期の外反力で、内側は牽引・外側は圧迫・後方は衝突という力が肘に加わる。
  • 内側型=上腕骨内側上顆の裂離(リトルリーグ肘)、外側型=上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎、後方型=肘頭の疲労骨折・骨棘。
  • 離断性骨軟骨炎は成長期(小学校高学年〜中学生)に好発。早期は無症状のことがあり検診が重要。
  • 遊離体(関節ねずみ)が噛み込むとロッキング。引っかかり感と可動域制限を繰り返す。
  • 治療の基本は投球中止と全身のコンディショニング。手術は難治例・ロッキング反復例に限られる。
比較表
加わる力病変部位特徴
内側型牽引(引き離す)上腕骨内側上顆・骨端線頻度が最も高い。予後は比較的良好
外側型圧迫(押しつける)上腕骨小頭(離断性骨軟骨炎)早期は無症状。進行すると遊離体・ロッキング
後方型衝突・剪断肘頭・肘頭窩疲労骨折、骨棘形成、伸展時痛
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