学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §7 滅菌法と消毒法 / QJ28P051

理由で解く 柔道整復師

QJ28P051 外科学概論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問51
問題
消毒と滅菌で誤っているのはどれか。
選択肢
1 オートクレーブは高圧蒸気滅菌装置である。
2 グルタラールは粘膜に対して刺激性が弱い。
3 クロルヘキシジンはMRSAに対して有効である。
4 ポビドンヨードは蛋白質の存在下で殺菌力が低下する。
解答
正解2(グルタラールは粘膜に対して刺激性が弱い。)
解説

グルタラール(グルタルアルデヒド)は芽胞にも効く高水準消毒薬だが、その強さの裏返しとして刺激性・毒性が強く、皮膚や粘膜には使えない。よって2が誤り。

消毒薬は抗菌スペクトルの広さで3段階に分けられる。高水準(グルタラール、過酢酸、フタラール)は芽胞を含むほぼすべての微生物に有効、中水準(ポビドンヨード、次亜塩素酸ナトリウム、消毒用エタノール)は結核菌や多くのウイルスまで、低水準(ビグアナイド系のクロルヘキシジン、第四級アンモニウム塩の塩化ベンザルコニウム・塩化ベンゼトニウムなど)は一般細菌が主な対象となる。低水準の2系統は化学構造がまったく異なるので、「クロルヘキシジン=ビグアナイド系」「塩化ベンザルコニウム・塩化ベンゼトニウム=第四級アンモニウム塩(逆性石けん)」と系統ごとに整理しておく。高水準消毒薬は蛋白変性作用が強いため、内視鏡など熱に弱い器具の浸漬消毒に限って用い、使用後は残留薬剤を十分にすすいで除去する。取り扱う側も蒸気で眼・鼻・気道を刺激されるので、換気を確保し手袋・ゴーグル・マスクを着用する。なお滅菌はすべての微生物を殺滅・除去することで、高圧蒸気(オートクレーブ)、酸化エチレンガス、過酸化水素低温プラズマ、放射線などの方法がある。

✓ 2. これが誤り(正解)
グルタラールは粘膜に対して刺激性が弱い。
実際は刺激性が強く、皮膚・粘膜への適用は避けるべき薬剤である。器具専用と位置づけ、浸漬後は十分な水洗いで薬剤を除去し、作業時は換気と保護具の着用を徹底する。
✗ 1. 正しい記述(答えではない)
オートクレーブは高圧蒸気滅菌装置である。
およそ2気圧・121℃の飽和水蒸気で15〜20分処理し、芽胞を含むすべての微生物を殺滅する。金属器具やリネン類に適する一方、熱や湿気に弱い器具には使えないため、そうした器具には酸化エチレンガス滅菌などを選ぶ。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
クロルヘキシジンはMRSAに対して有効である。
MRSAは抗菌薬(メチシリン)に耐性なのであって、消毒薬に強いわけではない。黄色ブドウ球菌というグラム陽性球菌である以上、低水準消毒薬のクロルヘキシジン(ビグアナイド系)でも殺菌できる。ただし芽胞や結核菌には無効で、アナフィラキシーの報告があるため粘膜には用いない。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
ポビドンヨードは蛋白質の存在下で殺菌力が低下する。
血液・膿・浸出液などの有機物があると遊離ヨウ素がそこで消費され、殺菌に回る分が減ってしまう。まず洗浄して汚れを落としてから塗布し、乾燥するまで(およそ2分)待って効果を発揮させるのが正しい使い方である。
ポイント
  • 消毒薬は高水準(グルタラール等)・中水準(ポビドンヨード、次亜塩素酸Na、エタノール)・低水準(クロルヘキシジン等)に分かれる。
  • 低水準の系統を区別する:クロルヘキシジン=ビグアナイド系、塩化ベンザルコニウム・塩化ベンゼトニウム=第四級アンモニウム塩(逆性石けん)。
  • グルタラールは芽胞にも有効だが刺激性が強く、皮膚・粘膜には使わず器具専用。使用後は十分にすすぐ。
  • MRSAは抗菌薬耐性であって消毒薬耐性ではない。クロルヘキシジンで殺菌できる。
  • ポビドンヨードは血液・膿など有機物で不活化される。洗浄後に塗布し、乾くまで待つ。
  • 滅菌=すべての微生物を殺滅・除去。オートクレーブは約2気圧・121℃・15〜20分。
比較表
水準代表的な薬剤(系統)効く範囲使用上の注意
高水準グルタラール、フタラール(アルデヒド系)、過酢酸芽胞を含むほぼすべての微生物器具専用。皮膚・粘膜に使わない。換気と保護具
中水準ポビドンヨード(ヨウ素系)、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系)、消毒用エタノール(アルコール系)結核菌・多くのウイルスまで(芽胞には不十分)ポビドンヨードは皮膚・粘膜に使用可。有機物で失活
低水準クロルヘキシジン(ビグアナイド系)、塩化ベンザルコニウム・塩化ベンゼトニウム(第四級アンモニウム塩=逆性石けん)一般細菌(芽胞・結核菌には無効)クロルヘキシジンは粘膜に用いない
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