学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §6 失血と輸血・輸液 / QJ28P050

理由で解く 柔道整復師

QJ28P050 外科学概論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問50
問題
輸血で正しいのはどれか。
選択肢
1 血漿交換は劇症肝炎に有効である。
2 新鮮血輸血では凝固因子の補給ができない。
3 保存血輸血では血小板の補給が期待できる。
4 血小板輸血は循環血漿量の補充に用いる。
解答
正解1(血漿交換は劇症肝炎に有効である。)
解説

血漿交換は患者の血漿を病因物質ごと抜き去り、新鮮凍結血漿やアルブミン液で置き換える治療法である。劇症肝炎に対する人工肝補助療法として行われるので、1が正しい。

劇症肝炎では肝細胞が広範に壊死し、本来なら肝臓が処理するはずの物質が体内に蓄積する一方、凝固因子やアルブミンも産生できなくなる。血漿交換では、蛋白と結合していて透析では抜けない毒性物質を血漿ごと除去でき、しかも置換液の新鮮凍結血漿によって凝固因子を同時に補える。肝が再生するまで、あるいは肝移植までの時間を稼ぐ橋渡しとして、血液濾過透析と併用されることが多い。輸血全体の考え方の基本は「足りない成分だけを補う」成分輸血であり、赤血球濃厚液は酸素運搬能、血小板濃厚液は止血、新鮮凍結血漿は凝固因子、アルブミン製剤は膠質浸透圧というように、どの製剤が何を担うかを対応づけて覚えることが選択肢の判断に直結する。

✓ 1. 正しい
血漿交換は劇症肝炎に有効である。
蛋白結合性の毒性物質を血漿ごと除去し、同時に置換液の新鮮凍結血漿で凝固因子を補充できる。肝機能が回復するまで、または肝移植までを支える補助療法として確立している。
✗ 2. 誤り
新鮮血輸血では凝固因子の補給ができない。
採血後まもない新鮮血には、血小板も凝固因子も活性を保ったまま含まれている。したがって凝固因子を「補給できない」のではなく、むしろ補給できる側である。記述が逆になっている。
✗ 3. 誤り
保存血輸血では血小板の補給が期待できる。
血液を2〜6℃で保存すると血小板は速やかに機能を失い、採血後1日程度で止血効果は期待できなくなる。第V因子・第VIII因子といった不安定凝固因子も減少していく。血小板が必要なときは血小板濃厚液を用いる。
✗ 4. 誤り
血小板輸血は循環血漿量の補充に用いる。
血小板輸血の目的は、血小板の減少や機能異常による出血の治療と予防である。循環血漿量を補うには等張電解質輸液やアルブミン製剤などを用いる。製剤ごとの目的を取り違えないようにする。
ポイント
  • 血漿交換は病因物質を血漿ごと除去し置換液で補う治療。劇症肝炎の肝補助療法として有効。
  • 新鮮血には血小板・凝固因子が活性を保って含まれる。
  • 保存血では血小板機能が早期に失われ、第V・第VIII因子も減少する。
  • 血小板輸血は出血の治療・予防が目的。循環血漿量の補充は輸液やアルブミン製剤の役割。
  • 輸血の原則は成分輸血=足りない成分だけを補う。
比較表
血液製剤主に補うもの主な適応
赤血球濃厚液ヘモグロビン出血・貧血による酸素運搬能の低下
血小板濃厚液血小板血小板減少・機能異常による出血とその予防
新鮮凍結血漿凝固因子(第V・第VIII因子を含む)凝固因子欠乏による出血傾向、血漿交換の置換液
アルブミン製剤アルブミン(膠質浸透圧)低アルブミン血症、循環血漿量の維持
保存血赤血球(血小板・不安定凝固因子は期待できない)一般的な輸血用血液
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