学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §5 ショック / QJ28P049

理由で解く 柔道整復師

QJ28P049 外科学概論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問49
問題
血液分布異常性ショックを起こしうるのはどれか。
選択肢
1 熱傷
2 肺塞栓症
3 心タンポナーデ
4 アナフィラキシー
解答
正解4(アナフィラキシー)
解説

アナフィラキシーでは全身の血管が拡張し血管透過性も亢進するため、血液が末梢に滞って心臓に戻らなくなる。血液量そのものは減っていないのに有効循環血液量が不足する、これが血液分布異常性ショックである。

ショックは原因により4つに分類される。①循環血液量減少性(出血、熱傷、脱水、腹膜炎など=入れ物の中身が減る)、②心原性(心筋梗塞、重症不整脈、弁膜症=ポンプが動かない)、③心外閉塞・拘束性(肺塞栓症、心タンポナーデ、緊張性気胸=血流が物理的に妨げられる)、④血液分布異常性(アナフィラキシー、敗血症、神経原性=血管という入れ物が広がりすぎる)。①〜③では心拍出量の低下を補うため末梢血管が収縮し、四肢は冷たく蒼白になる(コールドショック)。これに対し④は初期に末梢血管が拡張するため四肢が温かいことが多く(ウォームショック)、鑑別の手がかりになる。アナフィラキシーを疑ったらアドレナリンの筋肉内注射が第一選択で、原因物質の除去、仰臥位で下肢挙上、気道確保と酸素投与、輸液を並行して行い、直ちに救急要請する。

✓ 4. 正しい
アナフィラキシー
I型アレルギーで肥満細胞から放出されたヒスタミンなどの化学伝達物質が、全身の血管拡張と透過性亢進を引き起こす。血液が末梢の血管床に分布したまま還流しなくなるため、血液分布異常性ショックに分類される。蕁麻疹、喘鳴、喉頭浮腫、腹痛などを伴う。
✗ 1. 誤り
熱傷
熱傷では損傷部と間質へ血漿成分が大量に漏出し、循環している血液量そのものが減る。したがって循環血液量減少性ショックに分類され、対応は計算式に基づく大量輸液が中心となる。
✗ 2. 誤り
肺塞栓症
血栓が肺動脈を閉塞し、右心から先へ血液を送り出せなくなる。血流が物理的に堰き止められるタイプなので、心外閉塞・拘束性ショックに分類される。長期臥床後の歩行開始時などに突然の呼吸困難・胸痛で発症する。
✗ 3. 誤り
心タンポナーデ
心嚢内に液体が貯留して心臓が外から圧迫され、拡張できずに充満量が減る。これも血流が妨げられる病態で心外閉塞・拘束性ショックにあたる。血圧低下・頸静脈怒張・心音減弱のBeckの三徴が有名である。
ポイント
  • ショックの4分類:循環血液量減少性/心原性/心外閉塞・拘束性/血液分布異常性。
  • 血液分布異常性=アナフィラキシー・敗血症・神経原性。血管が広がりすぎて有効循環血液量が相対的に不足する。
  • 熱傷は血漿の漏出による循環血液量減少性、肺塞栓症と心タンポナーデは心外閉塞・拘束性。
  • 血液分布異常性は初期に四肢が温かい(ウォームショック)、他の3型は冷たく蒼白(コールドショック)。
  • アナフィラキシーではアドレナリン筋注が第一選択。仰臥位・下肢挙上、酸素、輸液を並行し直ちに救急要請する。
比較表
分類代表的な原因血行動態の要点四肢の所見
循環血液量減少性出血、熱傷、脱水、腹膜炎前負荷(心臓に戻る血液)の低下冷たく蒼白
心原性心筋梗塞、重症不整脈、弁膜症ポンプ機能そのものの低下冷たく蒼白
心外閉塞・拘束性肺塞栓症、心タンポナーデ、緊張性気胸血流の物理的な妨げ・心拡張の制限冷たく蒼白
血液分布異常性アナフィラキシー、敗血症、神経原性血管拡張・透過性亢進で有効循環量が相対的に不足初期は温かい
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