学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §4 腫瘍 / QJ28P048

理由で解く 柔道整復師

QJ28P048 外科学概論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問48
問題
腫瘍で正しい組合せはどれか。
選択肢
1 皮膚癌腺癌
2 大腸癌扁平上皮癌
3 卵巣転移シュニッツラー転移
4 機能性腫瘍インスリノーマ
解答
正解4(機能性腫瘍インスリノーマ)
解説

インスリノーマは膵ランゲルハンス島のβ細胞から発生し、インスリンを自律的に過剰分泌するホルモン産生腫瘍である。まさに機能性腫瘍の代表で、4が正しい組合せとなる。

上皮性悪性腫瘍(癌)の組織型は、発生母地となった上皮の種類でほぼ決まる。皮膚・食道・子宮頸部などの重層扁平上皮からは扁平上皮癌が、胃・大腸・肺末梢・乳腺などの腺上皮からは腺癌が生じる(皮膚では表皮基底層由来の基底細胞癌も多い)。また転移の呼び名も混同しやすい定番で、胃癌の卵巣転移がクルーケンベルグ腫瘍、ダグラス窩への腹膜播種がシュニッツラー転移、左鎖骨上窩リンパ節転移がウィルヒョウ転移である。機能性腫瘍とはホルモンを産生してその過剰による症状を出す腫瘍のことで、インスリノーマのほかガストリノーマ、褐色細胞腫、機能性甲状腺腺腫などが該当する。インスリノーマでは空腹時に冷汗・動悸・意識障害などの低血糖症状が現れる。診断の決め手となるのがWhippleの三徴で、①空腹時などに低血糖症状が出現すること、②その発作時に血糖値が低い(およそ50mg/dL以下)ことが実際に確認されること、③ブドウ糖の投与により症状が速やかに改善すること、の3項目をいう。症状の羅列ではなく「症状・発作時の血糖低値の証明・糖投与での改善」の3点セットである点に注意する。

✓ 4. 正しい組合せ
機能性腫瘍インスリノーマ
膵島β細胞由来の腫瘍で、血糖値と無関係にインスリンが分泌され続けるため低血糖をきたす。ホルモンを産生し症状を引き起こすという機能性腫瘍の定義にそのまま当てはまる。
✗ 1. 誤った組合せ
皮膚癌腺癌
皮膚の表皮は重層扁平上皮なので、皮膚癌の代表は扁平上皮癌と基底細胞癌である。汗腺など皮膚付属器由来の腺癌もあるが例外的で、「皮膚癌といえば腺癌」とはならない。
✗ 2. 誤った組合せ
大腸癌扁平上皮癌
大腸粘膜は腺上皮であり、大腸癌の大半は腺癌である。扁平上皮癌がみられるのは重層扁平上皮に覆われた肛門管などで、大腸本体の代表的組織型ではない。
✗ 3. 誤った組合せ
卵巣転移シュニッツラー転移
胃癌などの卵巣転移はクルーケンベルグ腫瘍とよぶ。シュニッツラー転移はダグラス窩(男性の直腸膀胱窩、女性の直腸子宮窩)に腹膜播種したもので、直腸診で硬い腫瘤として触れることがある。名称の対応が入れ替わっている。
ポイント
  • 癌の組織型は発生母地の上皮で決まる。重層扁平上皮(皮膚・食道・子宮頸部)→扁平上皮癌、腺上皮(胃・大腸・乳腺)→腺癌。
  • 皮膚癌の代表は扁平上皮癌と基底細胞癌、大腸癌の大半は腺癌。
  • 胃癌の三大特殊転移:ウィルヒョウ(左鎖骨上窩リンパ節)、クルーケンベルグ(卵巣)、シュニッツラー(ダグラス窩)。
  • 機能性腫瘍=ホルモンを産生して症状を出す腫瘍。インスリノーマ、ガストリノーマ、褐色細胞腫など。
  • インスリノーマのWhippleの三徴は、①空腹時の低血糖症状(冷汗・動悸・意識障害など)の出現、②発作時に血糖値が低い(約50mg/dL以下)ことの確認、③ブドウ糖投与による症状の速やかな改善、の3項目。「発作時の血糖低値の証明」を落とさない。
比較表
名称転移・播種の部位経路気づき方
ウィルヒョウ転移左鎖骨上窩リンパ節リンパ行性左鎖骨上のリンパ節を触知
クルーケンベルグ腫瘍卵巣(両側性が多い)播種・血行性腹部腫瘤、腹水
シュニッツラー転移ダグラス窩(直腸子宮窩・直腸膀胱窩)腹膜播種直腸診で硬結を触知
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