学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §3 外科的感染症 / QJ28P047

理由で解く 柔道整復師

QJ28P047 外科学概論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問47
問題
外科的感染で誤っている組合せはどれか。
選択肢
1 丹毒-A群溶連菌
2 ガス壊疽-ウェルシュ菌
3 化膿性骨髄炎-黄色ブドウ球菌
4 IVH カテーテル感染-アスペルギルス
解答
正解4(IVH カテーテル感染-アスペルギルス)
解説

中心静脈(IVH)カテーテル感染の代表的な起炎菌は、皮膚常在菌である表皮ブドウ球菌(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌)や黄色ブドウ球菌、真菌ではカンジダである。アスペルギルスは通常挙げられないため、4が誤った組合せとなる。

中心静脈カテーテルでは、皮膚の刺入部から侵入した菌がカテーテル表面にバイオフィルムをつくって定着し、そこから血流に散布されて発熱・菌血症を起こす。侵入門戸が皮膚である以上、原因菌も皮膚常在菌が中心になるのが理屈である。加えて高カロリー輸液は糖濃度が高く、カンジダにとって好条件となるため真菌血症も重要となる。これに対しアスペルギルスは環境中に浮遊する胞子を吸い込んで肺に病巣をつくる糸状菌で、好中球が高度に減少した血液疾患患者などに侵襲性肺アスペルギルス症を起こすのが典型であり、カテーテル関連血流感染の代表菌ではない。カテーテル留置中に原因不明の発熱がみられたら、他に熱源がないかを確認し、カテーテル血と末梢血の血液培養を採取したうえでカテーテル抜去を検討する。

✓ 4. これが誤った組合せ(正解)
IVH カテーテル感染-アスペルギルス
カテーテル関連血流感染の主役は皮膚常在菌の表皮ブドウ球菌・黄色ブドウ球菌で、真菌ではカンジダが問題になる。アスペルギルスは吸入により肺に病変をつくる糸状菌であり、この組合せは成り立たない。
✗ 1. 正しい組合せ(答えではない)
丹毒-A群溶連菌
丹毒はA群β溶血性連鎖球菌が真皮浅層とその浅在リンパ管に感染して起こる。顔面や下肢に好発し、境界が明瞭で鮮紅色に隆起した紅斑と、発熱・悪寒などの全身症状を伴うのが特徴である。より深い皮下組織に及ぶ蜂窩織炎は境界が不明瞭で、こちらは黄色ブドウ球菌も原因となる。
✗ 2. 正しい組合せ(答えではない)
ガス壊疽-ウェルシュ菌
ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)などの嫌気性有芽胞桿菌が、土壌で汚染された挫滅創・深い刺創など酸素の乏しい環境で増殖して起こる。ガスを産生するため皮下気腫による握雪感(捻髪音)が触れ、悪臭のある滲出液と急速な全身状態の悪化をきたす。緊急のデブリドマンを要する重篤な感染である。
✗ 3. 正しい組合せ(答えではない)
化膿性骨髄炎-黄色ブドウ球菌
小児で多い血行性骨髄炎(長管骨の骨幹端に好発)でも、開放骨折や術後に生じる骨髄炎でも、最も頻度の高い起炎菌は黄色ブドウ球菌である。化膿性関節炎の起炎菌としても最多で、骨・関節の化膿性感染といえばまず黄色ブドウ球菌を想起する。
ポイント
  • カテーテル関連血流感染=皮膚常在菌(表皮ブドウ球菌・黄色ブドウ球菌)とカンジダ。侵入門戸が皮膚だから、と理由づけて覚える。
  • アスペルギルスは胞子の吸入により肺に病巣をつくる糸状菌で、好中球減少患者の侵襲性肺アスペルギルス症が代表。
  • 丹毒=A群β溶血性連鎖球菌(真皮浅層、境界明瞭な紅斑)/蜂窩織炎=より深部、境界不明瞭。
  • ガス壊疽=ウェルシュ菌などクロストリジウム属。皮下気腫による握雪感が手がかり。
  • 骨・関節の化膿性感染(化膿性骨髄炎・化膿性関節炎)は黄色ブドウ球菌が最多。
比較表
疾患代表的な起炎菌特徴的な所見
丹毒A群β溶血性連鎖球菌境界明瞭な鮮紅色の紅斑、発熱・悪寒
蜂窩織炎黄色ブドウ球菌・連鎖球菌境界不明瞭な発赤・腫脹・熱感
ガス壊疽ウェルシュ菌(クロストリジウム属)皮下気腫による握雪感、悪臭、急速進行
破傷風破傷風菌開口障害、痙笑、後弓反張
化膿性骨髄炎・化膿性関節炎黄色ブドウ球菌局所の疼痛・熱感、発熱
カテーテル関連血流感染表皮ブドウ球菌・黄色ブドウ球菌・カンジダ他に熱源のない発熱、刺入部の発赤
侵襲性肺アスペルギルス症アスペルギルス好中球減少患者、胞子の吸入で肺に病巣
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