学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §1 損傷 / QJ28P046

理由で解く 柔道整復師

QJ28P046 外科学概論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問46
問題
熱傷で誤っているのはどれか。
選択肢
1 低温熱傷は難治性である。
2 成人の熱傷面積概算には「9の法則」を用いる。
3 皮膚損傷の面積によってⅠ~Ⅲ度に分類される。
4 広範囲熱傷患者のストレス潰瘍をカーリング(Curling)潰瘍という。
解答
正解3(皮膚損傷の面積によってⅠ~Ⅲ度に分類される。)
解説

この設問は「誤っているもの」を選ぶ問題である。熱傷のⅠ度〜Ⅲ度という分類は損傷の「深さ」による分類であり、「面積」による分類ではない。したがって選択肢3が誤りで、これが答えとなる。

熱傷の評価は「深さ」と「面積」という別々の物差しで行い、この2つを混同しないことが要点である。深さはⅠ度(表皮まで/発赤・疼痛、瘢痕を残さず治癒)、浅達性Ⅱ度(真皮浅層まで/水疱・強い疼痛、瘢痕を残しにくい)、深達性Ⅱ度(真皮深層まで/水疱底が白く知覚鈍麻、瘢痕を残す)、Ⅲ度(皮膚全層以上/白色〜褐色の壊死、無痛)に分ける。一方、面積は成人では「9の法則」、小児では「5の法則(ブロッカーの法則)」、局所的な評価には手掌法(患者の手掌を体表面積の約1%とする)を用い、より精密にはランド・ブラウダーの表を使う。重症度は「深さ×面積×部位×年齢×気道熱傷の有無」で総合的に判定し、輸液量の算出(バクスター法など)にも面積が使われる。現場では、まず流水で十分に冷却し、水疱は破らず清潔な被覆材で覆って保温し、広範囲や顔面・気道の熱傷、Ⅲ度が疑われる例は速やかに医療機関へ搬送する。

✓ 3. これが答え(誤っている記述)
皮膚損傷の面積によってⅠ~Ⅲ度に分類される。
Ⅰ度〜Ⅲ度の分類基準は「深さ(どの層まで損傷が及んだか)」であり、面積ではない。面積を評価するのは9の法則・5の法則・手掌法である。深さと面積という2つの物差しを取り違えている点が誤り。
✗ 1. 正しい記述(答えではない)
低温熱傷は難治性である。
湯たんぽやカイロなど44〜50℃程度の熱源に長時間接触して生じるもので、見た目の発赤は軽くても熱が深部まで及び、Ⅲ度に達していることが少なくない。深達性で難治となり、植皮を要することもある。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
成人の熱傷面積概算には「9の法則」を用いる。
頭頸部9%、上肢は片側9%ずつ、体幹は前後それぞれ18%、下肢は片側18%ずつ、外陰部1%として概算する。小児は頭部の比率が大きいため5の法則(ブロッカーの法則)を用いる。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
広範囲熱傷患者のストレス潰瘍をカーリング(Curling)潰瘍という。
広範囲熱傷後に生じる急性胃・十二指腸潰瘍をカーリング潰瘍と呼ぶ。頭部外傷や脳血管障害など頭蓋内病変に伴うものはクッシング潰瘍で、両者を対にして覚える。
ポイント
  • 設問は「誤っているもの」を選ぶ形式。深さと面積という2つの物差しの取り違えが問われている。
  • 深さ:Ⅰ度(表皮)/浅達性Ⅱ度(真皮浅層・水疱・強い痛み)/深達性Ⅱ度(真皮深層・知覚鈍麻)/Ⅲ度(全層・無痛)。
  • 面積:成人は9の法則、小児は5の法則(ブロッカー)、局所は手掌法(手掌=約1%)。
  • 低温熱傷は見た目より深く、難治性。カーリング潰瘍=熱傷、クッシング潰瘍=頭蓋内病変。
  • 初期対応は十分な冷却、水疱を破らず清潔に被覆し保温、広範囲・顔面・気道熱傷は速やかに搬送する。
比較表
物差し分類・方法内容
深さⅠ度表皮まで。発赤・疼痛。瘢痕を残さない
浅達性Ⅱ度真皮浅層。水疱(底は赤色)・強い疼痛
深達性Ⅱ度真皮深層。水疱底は白色、知覚鈍麻、瘢痕を残す
Ⅲ度皮膚全層以上。白色〜褐色の壊死、無痛
面積9の法則成人の概算
5の法則(ブロッカー)小児の概算
手掌法患者の手掌=体表面積の約1%
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