学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §14 主要な疾患 循環器疾患 / QJ28P037

理由で解く 柔道整復師

QJ28P037 一般臨床医学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問37
問題
急性心筋梗塞で誤っているのはどれか。
選択肢
1 心電図検査でST 上昇を認める。
2 血液検査でトロポニンの低下を認める。
3 冠動脈造影検査で冠動脈の閉塞を認める。
4 心エコー検査で心室の壁運動の低下を認める。
解答
正解2(血液検査でトロポニンの低下を認める。)
解説

心筋が壊死すると細胞内のトロポニンが血中へ漏れ出すため、値は上昇します。「低下」とする2が誤りです。

急性心筋梗塞は冠動脈が閉塞して心筋が壊死する病態で、検査所見はいずれも「壊死した心筋」を別の角度から捉えています。心電図では貫壁性の心筋障害を反映してST上昇が現れ、時間とともに異常Q波、冠性T波へと変化します。心エコーでは壊死した部位が動かなくなるため、心室壁運動の低下・消失(asynergy)が観察されます。冠動脈造影では責任血管の閉塞や高度狭窄が描出され、そのままカテーテル治療(PCI)へつながります。血液検査では壊死した心筋から逸脱した物質が上昇し、なかでも心筋トロポニンT/Iは発症数時間から上昇して1〜2週間持続し、心筋特異性が高い指標として重視されます。逸脱酵素は上昇する順番が決まっており、H-FABP・ミオグロビンが最も早く、CK-MB、ASTと続き、LDHが最も遅く上昇して最も長く持続します。

✓ 2. これが誤り(正解)
血液検査でトロポニンの低下を認める。
トロポニンは心筋の収縮に関わる蛋白で、心筋が壊死すると血中に逸脱するため上昇します。CK-MB、H-FABP、AST、LDHも上昇します。
✗ 1. 正しい記述(答えではない)
心電図検査でST 上昇を認める。
ST上昇型心筋梗塞(STEMI)では、責任冠動脈の灌流域に対応する誘導でST上昇がみられます。その後、異常Q波や冠性T波が出現します。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
冠動脈造影検査で冠動脈の閉塞を認める。
責任血管の閉塞・狭窄部位を直接描出でき、診断とカテーテル治療を同時に進められます。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
心エコー検査で心室の壁運動の低下を認める。
壊死した心筋は収縮しなくなるため、その領域の壁運動低下・消失(asynergy)として観察されます。合併症(心破裂、僧帽弁閉鎖不全、心嚢液)の評価にも有用です。
ポイント
  • 急性心筋梗塞では心筋逸脱物質はすべて上昇する。「低下」と書かれたら誤り。
  • 心筋トロポニンT/I:発症3〜4時間から上昇、1〜2週間持続、心筋特異性が最も高い。
  • 逸脱酵素の順番:H-FABP・ミオグロビン(最速)→CK-MB→AST→LDHLDHは最も遅く上昇し(ピーク3〜6日)、最も長く持続する(正常化まで1〜2週)
  • 心電図:ST上昇→異常Q波→冠性T波と変化。誘導から責任血管を推定できる。
  • 心エコー:壁運動の低下・消失(asynergy)と合併症の評価。
  • 症状は30分以上続く激しい前胸部痛で、ニトログリセリンで軽快しない。冷汗・悪心を伴うことも多く、疑ったら直ちに救急要請する。
比較表
指標上昇開始ピーク特徴
H-FABP・ミオグロビン1〜2時間数時間最も早く上昇(超急性期の判定)
心筋トロポニンT/I3〜4時間半日〜1日1〜2週持続、心筋特異性が高い
CK-MB4〜8時間約24時間再梗塞の判定に有用
AST6〜12時間1〜2日肝・骨格筋でも上昇するため特異性は低い
LDH半日〜1日3〜6日最も遅く上昇し、最も長く持続する(正常化まで1〜2週)。特異性は低い
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