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理由で解く 柔道整復師

QJ28P035 一般臨床医学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問35
問題
逆流性食道炎で正しいのはどれか。
選択肢
1 繰り返す嘔吐が原因である。
2 胃酸の分泌を抑える治療を行う。
3 日常の注意として臥床前に飲食するようにする。
4 ヘリコバクター・ピロリ菌の感染によって生じる。
解答
正解2(胃酸の分泌を抑える治療を行う。)
解説

正解は2。逆流性食道炎は胃酸を含む胃内容が食道へ逆流して粘膜が傷つく病気なので、治療の中心は胃酸の分泌を抑える薬です。原因も対策も「酸をどう食道に上げないか」で一本につながります。

食道と胃のつなぎ目には下部食道括約筋があり、ふだんは閉じて逆流を防いでいます。この括約筋の緩み、食道裂孔ヘルニア、加齢による食道の蠕動低下、肥満・妊娠・前かがみ姿勢・きつい衣服による腹圧上昇、高脂肪食や過食などが重なると、胃内容が食道へ逆流します。食道の粘膜は胃と違って酸に対する防御が弱いため、びらんや潰瘍を生じ、胸やけ・呑酸・胸骨後部の違和感といった症状が出ます。臥位や前傾で悪化するのが特徴です。したがって治療は、酸の力を弱める薬物療法(プロトンポンプ阻害薬、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー、H2受容体拮抗薬)と、逆流しにくい生活習慣づくりを組み合わせます。具体的には、食後2〜3時間は横にならない、就寝前の飲食を控える、就寝時は上半身を少し高くする、腹部を締めつけない、減量する、といった指導が有効です。

✓ 2. 正しい
胃酸の分泌を抑える治療を行う。
食道粘膜を傷つけている主体が胃酸であるため、酸分泌抑制薬が治療の中心になります。プロトンポンプ阻害薬やカリウムイオン競合型アシッドブロッカーが第一選択で、H2受容体拮抗薬や、粘膜保護薬・消化管運動改善薬を併用することもあります。薬物療法に生活指導を組み合わせることで再発を減らせます。
✗ 1. 誤り
繰り返す嘔吐が原因である。
主な原因は下部食道括約筋の機能低下・食道裂孔ヘルニア・腹圧上昇などによる胃内容の逆流であり、嘔吐が原因の中心ではありません。なお、激しい嘔吐を繰り返して食道胃接合部の粘膜が裂け、吐血をきたすのはマロリー・ワイス症候群です。逆流性食道炎とは成り立ちが異なるので区別して覚えます。
✗ 3. 誤り
日常の注意として臥床前に飲食するようにする。
横になると重力の助けがなくなり、胃内容が食道へ上がりやすくなります。指導としては逆で、就寝の2〜3時間前までに食事を済ませる、寝る直前の飲食を控える、就寝時は枕やベッドの頭側を少し高くして上半身を挙上する、脂肪の多い食事・アルコール・喫煙を控える、ベルトや帯で腹部を締めつけない、減量する、といった行動が症状の軽減につながります。
✗ 4. 誤り
ヘリコバクター・ピロリ菌の感染によって生じる。
ピロリ菌が関与するのは慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃癌などで、逆流性食道炎の原因ではありません。むしろピロリ菌感染が長く続くと胃粘膜の萎縮が進んで胃酸分泌が低下するため、除菌後に酸分泌が回復して逆流症状が現れることがあります。除菌後に胸やけを訴える人がいたら、この経過を念頭に医療機関への相談をすすめます。
ポイント
  • 成り立ちは「胃酸が食道へ逆流」。下部食道括約筋の緩み・食道裂孔ヘルニア・腹圧上昇が背景。
  • 症状は胸やけ・呑酸。臥位や前傾で悪化するのが特徴。
  • 治療の中心は酸分泌抑制薬(PPI、P-CAB、H2受容体拮抗薬)。
  • 生活指導は「食後すぐ横にならない/就寝前の飲食を控える/上半身を挙上/腹部を締めつけない/減量」。
  • ピロリ菌は胃側の病気(胃炎・潰瘍・胃癌)の原因。逆流性食道炎とは切り分ける。
比較表
項目逆流性食道炎(胃食道逆流症)ヘリコバクター・ピロリ関連疾患
主な成因下部食道括約筋の機能低下、食道裂孔ヘルニア、腹圧上昇、高脂肪食・過食ピロリ菌の持続感染による慢性の粘膜炎症
傷つく部位食道下部の粘膜胃・十二指腸の粘膜
主症状胸やけ、呑酸、胸骨後部の違和感。臥位・前傾で悪化心窩部痛、腹部膨満感、食欲不振(潰瘍では出血・穿孔も)
主な治療酸分泌抑制薬+生活指導除菌療法(抗菌薬2剤+酸分泌抑制薬)
関連する注意長期の炎症でバレット食道から食道腺癌のリスク持続感染で胃癌のリスク。除菌後に逆流症状が出ることがある
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