学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §7 リハビリテーションの実際 / QJ28P022

理由で解く 柔道整復師

QJ28P022 リハビリテーション医学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問22
問題
脳卒中の急性期リハビリテーションで優先度が低いのはどれか。
選択肢
1 関節可動域訓練
2 ベッド上動作訓練
3 高次脳機能訓練
4 歩行訓練
解答
正解3(高次脳機能訓練)
解説

脳卒中の急性期にまず行うのは、廃用症候群の予防と早期離床。高次脳機能訓練は全身状態と覚醒が安定した回復期以降に本格化するため、急性期では優先度が低い。

脳卒中のリハビリテーションは、全身状態が安定していれば発症後できるだけ早期に開始するのが原則である。急性期の目的は、関節拘縮・筋萎縮・褥瘡・沈下性肺炎・深部静脈血栓症・起立性低血圧といった廃用症候群を防ぐこと、そして早期離床によって回復の土台をつくることにある。具体的には、良肢位保持と体位変換に始まり、他動的な関節可動域訓練、ベッド上での寝返り・起き上がり、座位保持、立位、そして全身状態を確認しながら歩行訓練へと段階を進める。一方、失語・半側空間無視・注意障害・記憶障害などの高次脳機能障害は、急性期にも評価を行い、転倒・誤嚥の予防や訓練の進め方に反映させることが重要である。ただし、まとまった時間の集中を要する訓練は、意識レベルと全身状態が安定し、課題に持続的に取り組めるようになる回復期からが中心となる。急性期に血圧・脈拍・意識レベル・神経症状を確認しながらリスク管理のもとで進める点も、あわせて押さえておきたい。

✓ 3. これが答え(優先度が低い)
高次脳機能訓練
急性期は意識レベルや全身状態が不安定で、持続的な注意と集中を要する課題訓練は効果が得にくい。ただし評価そのものは早期から行い、安全管理と訓練計画に生かす。訓練の本格化は覚醒と全身状態が安定する回復期以降になる。
✗ 1. 答えではない(急性期から優先度が高い)
関節可動域訓練
拘縮は数日から生じ始めるため、発症直後から他動運動と良肢位保持を行う。麻痺側肩の亜脱臼や疼痛を招かないよう、肩甲帯を支えて愛護的に実施する。
✗ 2. 答えではない(急性期から優先度が高い)
ベッド上動作訓練
寝返り・起き上がり・座位保持は離床の前段階であり、褥瘡や沈下性肺炎の予防にも直結する。早期から段階的に開始する。
✗ 4. 答えではない(状態が安定すれば早期に進める)
歩行訓練
全身状態と神経症状が安定すれば、立位から歩行へと早期に進めるのが現在の考え方。起立性低血圧に注意しながら段階的に進め、廃用予防と機能回復の両方につなげる。
ポイント
  • 急性期リハの二本柱=廃用症候群の予防と早期離床。全身状態が安定していれば早期に開始する。
  • 予防すべき廃用=関節拘縮、筋萎縮、褥瘡、沈下性肺炎、深部静脈血栓症、起立性低血圧。
  • 順序は 良肢位保持・体位変換 → ROM訓練 → ベッド上動作 → 座位・立位 → 歩行。
  • 高次脳機能障害は急性期にも「評価」して安全管理に生かすが、集中的な「訓練」は回復期が中心。
  • 実施中は血圧・脈拍・意識レベル・神経症状を確認し、中止基準を守ってリスク管理を行う。
比較表
時期主な目標中心となる内容
急性期廃用予防・早期離床・合併症予防良肢位保持、体位変換、ROM訓練、ベッド上動作、座位・立位
回復期機能回復とADL自立歩行・ADL訓練、装具療法、高次脳機能訓練、嚥下訓練
生活期(維持期)能力の維持と社会参加自主訓練、通所・訪問リハ、住環境整備、社会資源の活用
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