学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §5 リハビリテーションの治療 / QJ28P019

理由で解く 柔道整復師

QJ28P019 リハビリテーション医学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問19
問題
腓骨神経麻痺に用いるのはどれか。
選択肢
1 短下肢装具
2 長下肢装具
3 両側松葉杖
4 ニーブレース
解答
正解1(短下肢装具)
解説

腓骨神経麻痺で生じる下垂足には、足関節を背屈中間位に保つ短下肢装具を用いる。膝の機能は保たれているので、それ以上の装具は必要ない。

総腓骨神経は腓骨頭の後ろを浅く回るため外部からの圧迫に弱く、下肢外側からの持続的な圧迫、ギプス・シーネの不適合、長時間の下肢交叉や側臥位、腓骨頸部骨折などで麻痺を起こしやすい。麻痺すると前脛骨筋・長趾伸筋・長母趾伸筋といった背屈筋群と腓骨筋群が働かなくなり、足関節は底屈位に垂れる(下垂足、drop foot)。歩行では遊脚期につま先が床に引っかかるため、股・膝を高く持ち上げて足を振り出す鶏歩(steppage gait)となり、接地時には足底全体を叩きつける。ここで補うべきは足関節の背屈保持だけであり、大腿四頭筋による膝の伸展保持は正常に働いている。この条件に過不足なく合うのが短下肢装具(AFO)で、軽量なプラスチック製シューホーンブレースなどが選ばれる。装具と並行して、腓骨頭部の圧迫を避ける肢位の指導、背屈筋の筋力訓練、下腿三頭筋・アキレス腱のストレッチによる尖足拘縮の予防を行い、皮膚状態も定期的に確認する。

✓ 1. 正しい
短下肢装具
下腿から足部までを覆い、足関節を背屈中間位に保持して下垂足・尖足を防ぐ装具。遊脚期のつま先の引っかかりがなくなり、接地も安定する。膝の機能が保たれている腓骨神経麻痺には、これが過不足のない選択となる。
✗ 2. 誤り
長下肢装具
膝継手を含み大腿から足部までを覆う装具で、大腿四頭筋麻痺による膝折れや脊髄損傷など、膝の支持性が失われた場合に用いる。腓骨神経麻痺では膝は保たれており、重く大がかりで日常使用に適さない。
✗ 3. 誤り
両側松葉杖
患肢への荷重を減免したり、バランスを補ったりする目的で使う。腓骨神経麻痺は荷重制限を要する病態ではなく、松葉杖では下垂足そのものは解決しない。
✗ 4. 誤り
ニーブレース
膝関節を固定・支持する装具で、膝靱帯損傷や膝関節の術後・不安定症などに用いる。足関節には作用しないため、下垂足の補正にはならない。
ポイント
  • 腓骨神経麻痺=下垂足(背屈不能)+下腿外側〜足背の感覚障害。歩容は鶏歩。
  • 腓骨頭部は神経が浅く走り圧迫に弱い。ギプス・シーネ、下肢交叉、長時間の側臥位に注意する。
  • 装具は短下肢装具(AFO、プラスチック製シューホーンブレースなど)で足関節を背屈中間位に保持。
  • 膝の支持が必要なら長下肢装具、荷重制限なら松葉杖、と目的で装具・補助具を選び分ける。
  • 装具と併せて、圧迫回避の肢位指導、背屈筋の筋力訓練、下腿三頭筋のストレッチによる尖足拘縮の予防を行う。
比較表
装具・補助具主な作用部位主な適応
短下肢装具(AFO)足関節腓骨神経麻痺による下垂足、脳卒中の内反尖足
長下肢装具(KAFO)膝+足関節大腿四頭筋麻痺、膝折れ、脊髄損傷
両側松葉杖荷重の分散・免荷下肢の荷重制限、バランス補助
ニーブレース膝関節膝靱帯損傷、膝関節術後の固定・支持
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