学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §2 リハビリテーション医学の対象 / QJ28P013

理由で解く 柔道整復師

QJ28P013 リハビリテーション医学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問13
問題
ICIDHで能力低下はどれか。
選択肢
1 大腿四頭筋の徒手筋力テストが3である。
2 足関節の背屈可動域がマイナス 10度である。
3 歩行距離が最大50mである。
4 歩行可能範囲に商店がなく買い物ができない。
解答
正解3(歩行距離が最大50mである。)
解説

ICIDHは障害を「機能・形態障害 → 能力低下 → 社会的不利」の3階層でとらえる。能力低下は個人として動作をどれだけ実行できるかのレベルで、歩行距離50mがこれに当たる。

ICIDH(国際障害分類、1980年 WHO)は、疾患・変調を出発点として、①機能・形態障害(impairment=器官・臓器レベルの異常)、②能力低下(disability=個人が動作を遂行する能力の制限)、③社会的不利(handicap=社会で役割を果たせないこと)へと段階的に波及する構造を示したモデルである。見分ける鍵は「誰の・どのレベルの話か」を問うこと。筋力やROMのように検査値で表されるものは機能障害、「歩ける・食べられる」という動作そのものの遂行は能力低下、「働けない・買い物に行けない」という生活上の不便は社会的不利になる。数字が出てくると機能障害に見えやすいが、測っている対象が身体の部品なのか動作なのかで判断する。なお2001年のICFでは、それぞれ心身機能・身体構造/活動/参加という中立的な表現に置き換えられ、環境因子・個人因子が明示された。

✓ 3. 正しい
歩行距離が最大50mである。
測っているのは筋力でも関節角度でもなく「歩く」という動作の遂行度そのもの。個人レベルで活動が制限されている記述なので能力低下(disability)に当たる。ICFでいえば「活動制限」。
✗ 1. 誤り(能力低下ではない)
大腿四頭筋の徒手筋力テストが3である。
MMTは筋の出力という身体機能を直接測る検査。器官・組織レベルの異常なので機能障害(impairment)。ICFでは心身機能の障害。
✗ 2. 誤り(能力低下ではない)
足関節の背屈可動域がマイナス 10度である。
関節可動域の制限は関節・軟部組織という身体構造・機能の異常。これも機能障害の階層。これが原因で「歩けない」となれば、その先が能力低下になる。
✗ 4. 誤り(能力低下ではない)
歩行可能範囲に商店がなく買い物ができない。
本人の歩行能力に加えて「近くに店がない」という環境が絡み、生活者としての役割が果たせなくなっている。社会的不利(handicap)の階層。ICFでは参加制約+環境因子として扱う。
ポイント
  • ICIDHの流れは 疾患・変調 → 機能・形態障害 → 能力低下 → 社会的不利。
  • 機能障害=検査値レベル(MMT、ROM、感覚、失語の有無など)。
  • 能力低下=動作レベル(歩行、食事、更衣、移乗)。
  • 社会的不利=役割・環境レベル(就労、買い物、通学、地域参加)。
  • ICFではそれぞれ「心身機能・身体構造/活動/参加」に対応し、環境因子・個人因子が加わる。
比較表
階層ICIDH(1980)ICF(2001)本問の該当肢
器官・部品機能・形態障害心身機能・身体構造1(MMT 3)/2(背屈 −10°)
個人の動作能力低下活動(活動制限)3(歩行距離 最大50m)
社会・環境社会的不利参加(参加制約)+環境因子4(商店がなく買い物ができない)
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