学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §2 リハビリテーション医学の対象 / QJ28P014

理由で解く 柔道整復師

QJ28P014 リハビリテーション医学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問14
問題
ICIDHの機能障害で正しいのはどれか。
選択肢
1 病気や外傷によりもたらされる。
2 同じ機能障害を持った人は同じ程度の能力低下を持つ。
3 下肢切断をした人は歩けないという機能障害を持つ。
4 下肢切断者に義足を処方することで軽減する。
解答
正解1(病気や外傷によりもたらされる。)
解説

機能障害(impairment)は、病気やけがの直接の結果として現れる心身レベルの機能・形態の異常そのもの。ICIDHでは疾患・変調に続く最初の障害レベルに置かれる。

ICIDHでは、まず疾患・変調があり、その結果として機能・形態障害が生じ、それが能力低下へ、さらに社会的不利へと波及すると考える。ここで大切なのは、この連鎖が機械的・一義的に決まるわけではないという点である。同じ切断、同じ麻痺であっても、年齢・体力・合併症・義肢装具の適合・訓練量・住環境・家族の支援によって、その先に生じる能力低下や社会的不利の大きさは大きく変わる。介入の階層も区別しておきたい。手術や薬物療法は機能障害へ、訓練や義肢装具・自助具は能力低下へ、住宅改修や制度の利用・職場調整は社会的不利へ働きかける。この「下の階層は上の階層だけでは決まらない」という反省が、環境因子・個人因子を明示するICFへの改訂につながった。

✓ 1. 正しい
病気や外傷によりもたらされる。
ICIDHの出発点は疾患・変調であり、その直接の結果として現れる心身レベルの異常が機能・形態障害。麻痺、筋力低下、関節拘縮、四肢の欠損、失語などがこれに当たる。定義そのものを述べた記述。
✗ 2. 誤り
同じ機能障害を持った人は同じ程度の能力低下を持つ。
同程度の麻痺でも、年齢・体力・合併症・使用する補装具・訓練量・住環境で到達する動作能力は大きく異なる。機能障害から能力低下は一義的には決まらない。だからこそ個別の評価と目標設定が必要になる。
✗ 3. 誤り
下肢切断をした人は歩けないという機能障害を持つ。
階層の取り違え。「下肢を失った」という形態の欠損が機能・形態障害であり、「歩けない」は動作の遂行が制限された状態、すなわち能力低下に当たる。
✗ 4. 誤り
下肢切断者に義足を処方することで軽減する。
義足で改善するのは「歩けない」という能力低下であり、さらにその先の社会的不利。切断という形態障害そのものが元に戻るわけではない。義肢・装具・自助具は主として能力低下の階層への介入と整理する。
ポイント
  • ICIDHの流れは 疾患・変調 → 機能・形態障害 → 能力低下 → 社会的不利。機能・形態障害は疾患・外傷の直接の結果であり、疾患・変調に続く最初の障害階層。
  • 機能障害の程度が同じでも、能力低下の程度は個人差・環境差で大きく変わる。
  • 「切断」は機能・形態障害、「歩けない」は能力低下と階層が分かれる。
  • 義肢・装具・自助具は能力低下を軽減する手段で、形態障害自体を消すものではない。
  • この一方向性の限界を補ったのがICFで、環境因子・個人因子と双方向の相互作用を明示した。
比較表
階層内容下肢切断での例主な介入
疾患・変調(連鎖の起点)病気・外傷そのもの外傷、閉塞性動脈硬化症など原疾患の治療
機能・形態障害心身の機能・形態の異常下肢の欠損、断端痛手術、断端管理、薬物療法
能力低下動作の遂行の制限歩けない、階段が昇れない義足の処方、歩行訓練、ADL訓練
社会的不利役割を果たせない復職できない、外出できない住宅改修、職場調整、制度利用
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。