学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §10 生殖 / QJ28A097

理由で解く 柔道整復師

QJ28A097 生理学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問97
問題
テストステロンの作用はどれか。
選択肢
1 精細管への分化
2 ウォルフ管の発達
3 ミュラー管の発達
4 ライディッヒ細胞への分化
解答
正解2(ウォルフ管の発達)
解説

胎生期の男性化では、精巣のライディッヒ細胞から分泌されるテストステロンがウォルフ管(中腎管)を発達させ、精巣上体・精管・精嚢をつくる。

性の分化は三段階で進む。まず遺伝的性が決まり、Y染色体上のSRY遺伝子が働くと未分化性腺が精巣へ分化する(性腺の性)。次に精巣から出る二つの因子が内性器を決める。セルトリ細胞が分泌する抗ミュラー管ホルモン(AMH、ミュラー管抑制因子)がミュラー管を退縮させ、ライディッヒ細胞が分泌するテストステロンがウォルフ管を発達させて精巣上体・精管・精嚢とする。最後に外性器で、テストステロンが5α還元酵素によりジヒドロテストステロン(DHT)に変換され、陰茎・陰嚢の形成と前立腺の発達を担う。SRYが働かない場合は精巣が形成されず、AMHもテストステロンも出ないため、ウォルフ管は退縮しミュラー管が発達して卵管・子宮・腟上部となる。つまり「何もしなければ女性型」で、男性化には能動的なホルモン作用が要るという構図である。「発達させるのはテストステロン、退縮させるのはAMH、外性器はDHT」と三点を役割分担で覚えると、この種の問題は確実に取れる。

✓ 2. 正しい
ウォルフ管の発達
テストステロンはウォルフ管(中腎管)に作用してこれを発達させ、精巣上体・精管・精嚢を形成する。男性内性器の形成がテストステロンの代表的な作用である。
✗ 1. 誤り
精細管への分化
精巣(精細管)への分化は、Y染色体上のSRY遺伝子に始まる性腺分化によって決まる。テストステロンはその後に精巣から分泌されるホルモンであり、順序が逆になる。
✗ 3. 誤り
ミュラー管の発達
男性ではミュラー管はAMHにより退縮する。ミュラー管が発達して卵管・子宮・腟上部となるのは、AMHが分泌されない場合(女性)である。テストステロンの作用ではない。
✗ 4. 誤り
ライディッヒ細胞への分化
ライディッヒ細胞はテストステロンを産生する細胞そのものであり、その分化は精巣分化の過程で起こる。ホルモンが自分を作る細胞を作り出すという逆の関係になってしまう。
ポイント
  • SRY遺伝子→精巣への分化→AMH(セルトリ細胞)とテストステロン(ライディッヒ細胞)の分泌、という順序。
  • テストステロン=ウォルフ管(中腎管)を発達させ、精巣上体・精管・精嚢をつくる。
  • AMH=ミュラー管を退縮させる。
  • 外性器の男性化はテストステロンから5α還元酵素で作られるDHTが担う。
  • ホルモン作用がなければ女性型に分化する(ウォルフ管退縮、ミュラー管発達)。
比較表
男性での運命女性での運命関与する因子
ウォルフ管(中腎管)発達→精巣上体・精管・精嚢退縮テストステロン
ミュラー管(傍中腎管)退縮発達→卵管・子宮・腟上部抗ミュラー管ホルモン(AMH)
外性器陰茎・陰嚢、前立腺の発達陰核・大陰唇などジヒドロテストステロン(DHT)
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