学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §11 骨の生理 / QJ28A098

理由で解く 柔道整復師

QJ28A098 生理学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問98
問題
カルシウムで正しいのはどれか。
選択肢
1 結腸から吸収される。
2 腎臓では再吸収されない。
3 身体内の約50%が骨組織にある。
4 血漿イオン濃度の低下で骨格筋の興奮性が亢進する。
解答
正解4(血漿イオン濃度の低下で骨格筋の興奮性が亢進する。)
解説

血漿のカルシウムイオン濃度が低下すると、神経・筋の膜の興奮性が高まり、テタニーなどの過剰な興奮症状が現れる。したがって4が正しい。

体内のカルシウムの大部分はヒドロキシアパタイトとして骨と歯に存在し、細胞外液や細胞内にあるのはごくわずかである。血漿カルシウムはおよそ半分が遊離イオン(生理活性をもつ)で、残りはアルブミンなどと結合している。吸収は主に十二指腸から空腸にかけて行われ、活性型ビタミンDがこれを促進する。腎では濾過されたカルシウムの大部分が近位尿細管、ヘンレ係蹄上行脚、遠位尿細管で再吸収され、副甲状腺ホルモン(PTH)が遠位尿細管での再吸収を高める。血漿の遊離カルシウムが低下すると、神経・筋の細胞膜においてNa⁺チャネルが開きやすくなり、閾値が下がって興奮性が亢進する。その結果、手指の攣縮、トルソー徴候、クボステック徴候、口周囲のしびれといったテタニー症状が出る。過換気症候群でテタニーが起こるのは、血液がアルカリ性に傾いてアルブミンへのカルシウム結合が増え、遊離イオンが減るためである。この場面ではまず呼吸を落ち着かせるよう声をかけ、ゆっくりした呼吸を促すことが実際の対応になる。逆に高カルシウム血症では興奮性が下がり、筋力低下、倦怠感、便秘などが現れる。

✓ 4. 正しい
血漿イオン濃度の低下で骨格筋の興奮性が亢進する。
細胞外Ca²⁺が減ると膜のNa⁺チャネルが開きやすくなり、閾値が下がって興奮性が高まる。低カルシウム血症でテタニー(手指の攣縮、トルソー徴候、クボステック徴候)が起こるのはこのためである。
✗ 1. 誤り
結腸から吸収される。
カルシウムの主な吸収部位は小腸、とくに十二指腸から空腸である。活性型ビタミンD依存性の能動輸送と、濃度勾配による受動輸送で取り込まれる。
✗ 2. 誤り
腎臓では再吸収されない。
糸球体で濾過されたカルシウムの大部分は尿細管で再吸収される。近位尿細管とヘンレ係蹄上行脚で大半が、遠位尿細管ではPTHの作用を受けて再吸収が調節される。
✗ 3. 誤り
身体内の約50%が骨組織にある。
骨・歯に存在するのは体内カルシウムの約99%であり、選択肢に示された割合とは大きく異なる。骨は単なる支持組織ではなく、血中濃度を一定に保つためのカルシウム貯蔵庫でもある。
ポイント
  • 体内カルシウムの約99%は骨・歯に存在し、骨は貯蔵庫として働く。
  • 吸収は主に小腸(十二指腸〜空腸)。活性型ビタミンDが促進する。
  • 腎では大部分が再吸収され、PTHが遠位尿細管での再吸収を高める。
  • 血漿遊離Ca²⁺の低下→膜の興奮性亢進→テタニー(トルソー徴候、クボステック徴候)。
  • 過換気ではアルカローシスにより遊離Ca²⁺が減りテタニーを生じる。まず呼吸を落ち着かせる。
比較表
項目内容
分布約99%が骨・歯(ヒドロキシアパタイト)、残り約1%が細胞内・細胞外液
吸収小腸(十二指腸〜空腸)。活性型ビタミンDが促進
腎での扱い近位尿細管・ヘンレ上行脚・遠位尿細管で再吸収。PTHが促進
血中濃度を上げるPTH、活性型ビタミンD
血中濃度を下げるカルシトニン
低カルシウム血症興奮性亢進:テタニー、しびれ、けいれん
高カルシウム血症興奮性低下:筋力低下、倦怠感、便秘、多尿
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