学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §7 体温とその調節 / QJ28A092

理由で解く 柔道整復師

QJ28A092 生理学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問92
問題
体温調節中枢に作用してセットポイントを上昇させる物質はどれか。
選択肢
1 エリスロポエチン
2 コルチゾール
3 ヒスタミン
4 プロスタグランジン
解答
正解4(プロスタグランジン)
解説

発熱時に視床下部の体温調節中枢へ直接働きかけ、設定温度(セットポイント)を引き上げるのはプロスタグランジンE₂である。

体温調節中枢は視床下部の視索前野・前視床下部にあり、いわばサーモスタットの設定値を保持している。細菌の内毒素などの外因性発熱物質が単球・マクロファージを刺激すると、インターロイキン1(IL-1)、IL-6、腫瘍壊死因子(TNF-α)といった内因性発熱物質(サイトカイン)が産生される。これらが脳の血管内皮などでシクロオキシゲナーゼを介してプロスタグランジンE₂を作らせ、PGE₂が体温調節中枢に作用してセットポイントを上げる。設定が上がった直後は、実際の体温が新しい設定より低いと判定されるため、悪寒・戦慄(シバリング)による熱産生と、皮膚血管収縮・立毛による熱放散の抑制が起こる。これが発熱の上昇期に寒気を感じ、震える理由である。設定が下がる解熱期には逆に皮膚血管が拡張し発汗が起こる。解熱鎮痛薬(NSAIDs)はシクロオキシゲナーゼを阻害してPGE₂産生を減らし、セットポイントを元に戻すことで解熱する。悪寒がある上昇期は保温、発汗のある解熱期は水分補給と着替え、というように時期に応じた対応を選べるようにしておきたい。

✓ 4. 正しい
プロスタグランジン
とくにプロスタグランジンE₂が視床下部の体温調節中枢に作用してセットポイントを上昇させる。NSAIDsがこの産生を抑えることで解熱する点まで結びつけると、機序が一本につながる。
✗ 1. 誤り
エリスロポエチン
主に腎臓の尿細管間質細胞から低酸素刺激に応じて分泌され、骨髄で赤血球産生を促す造血因子である。体温調節には関与しない。
✗ 2. 誤り
コルチゾール
副腎皮質から分泌される糖質コルチコイドで、糖新生促進、抗炎症・免疫抑制作用をもつ。炎症性サイトカインやプロスタグランジン産生を抑える側であり、セットポイントを上げる物質ではない。
✗ 3. 誤り
ヒスタミン
肥満細胞・好塩基球から放出され、血管拡張・血管透過性亢進・気管支収縮・胃酸分泌促進を起こす。炎症の発赤や腫脹の主役だが、体温のセットポイントは動かさない。
ポイント
  • 体温調節中枢は視床下部(視索前野・前視床下部)にある。
  • 外因性発熱物質→単球・マクロファージ→IL-1、IL-6、TNF-αなど内因性発熱物質→PGE₂→セットポイント上昇。
  • 上昇期は悪寒・シバリング・皮膚血管収縮、解熱期は皮膚血管拡張・発汗が起こる。
  • NSAIDsはシクロオキシゲナーゼを阻害しPGE₂産生を抑えて解熱する。
  • うつ熱(熱中症)はセットポイントが上がらないまま熱放散が追いつかない状態で、発熱とは機序が異なる。
比較表
物質主な産生部位主な作用
プロスタグランジンE₂脳血管内皮ほか各組織体温セットポイント上昇、発痛増強、炎症
エリスロポエチン腎(尿細管間質細胞)赤血球産生の促進
コルチゾール副腎皮質(束状層)糖新生、抗炎症・免疫抑制
ヒスタミン肥満細胞・好塩基球血管拡張・透過性亢進、気管支収縮、胃酸分泌促進
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