学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §5 呼吸器系 / QJ28A067

理由で解く 柔道整復師

QJ28A067 解剖学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問67
問題
肺で正しいのはどれか。
選択肢
1 肺門は肺胸膜でおおわれる。
2 肺尖は胸郭の内部にある。
3 気管支動脈は肺動脈から分枝する。
4 胸膜腔の内圧は外気圧より低い。
解答
正解4(胸膜腔の内圧は外気圧より低い。)
解説

胸膜腔の内圧は常に大気圧より低い陰圧に保たれています。この陰圧があるからこそ肺は膨らんだ状態を保てます。

肺の弾性収縮力は肺を縮ませる方向に、胸郭の弾性は広げる方向に働き、互いに引き合うために間にある胸膜腔は陰圧になります。安静呼気終末でおよそ−5cmH₂O、吸気時にはさらに強い陰圧となり、この圧差で空気が気道へ流れ込みます。胸膜腔には少量の漿液があり、臓側胸膜(肺胸膜)と壁側胸膜が滑らかに滑り合います。胸壁や肺が破れて胸膜腔に空気が入ると陰圧が失われ、肺は自らの弾性で縮んで虚脱します(気胸)。あわせて、肺には栄養血管である気管支動脈(体循環)と、ガス交換を担う機能血管である肺動脈(肺循環)の二重支配があることも押さえておきましょう。

✗ 1. 誤り
肺門は肺胸膜でおおわれる。
肺門は気管支・肺動静脈・気管支動静脈・神経・リンパ管が出入りする部位で、ここで肺胸膜(臓側胸膜)が壁側胸膜へ折り返ります。折り返し点である肺門そのものは胸膜に覆われていません。
✗ 2. 誤り
肺尖は胸郭の内部にある。
肺尖は胸郭の内部にとどまりません。胸郭上口を越えて頸部へ突出し、鎖骨の上方2〜3cmまで達するため、この文は誤りです。鎖骨上窩の外傷や鎖骨上での穿刺で肺尖が傷つきうる(気胸を起こしうる)理由でもあります。
✗ 3. 誤り
気管支動脈は肺動脈から分枝する。
気管支動脈は胸大動脈(一部は肋間動脈)から分枝する栄養血管です。肺動脈は右心室から出てガス交換のために血液を送る機能血管で、両者は起始も役割も異なります。
✓ 4. 正しい
胸膜腔の内圧は外気圧より低い。
肺と胸郭が互いに引き合うため陰圧が保たれます。安静呼気終末でおよそ−5cmH₂O。この陰圧が失われると肺は虚脱します(気胸)。
ポイント
  • 胸膜腔は常に陰圧(安静呼気終末でおよそ−5cmH₂O)。肺の縮む力と胸郭の広がる力が引き合うため。
  • 陰圧が失われると肺は虚脱する=気胸。
  • 肺門では臓側胸膜が壁側胸膜へ折り返る。肺門自体は胸膜に覆われない。
  • 肺尖は鎖骨の上方2〜3cm、胸郭上口を越えて突出する。だから「肺尖は胸郭の内部にある」は誤り。
  • 栄養血管=気管支動脈(胸大動脈由来)、機能血管=肺動脈(右心室由来)。
比較表
項目肺動脈(機能血管)気管支動脈(栄養血管)
起始右心室胸大動脈(一部は肋間動脈)
流れる血液静脈血動脈血
役割肺胞でのガス交換気管支・肺組織への栄養供給
属する循環肺循環(小循環)体循環(大循環)
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