学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §23 各論(軟部組織損傷) 下肢 / QJ27P097

理由で解く 柔道整復師

QJ27P097 柔道整復理論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問97
問題
大腿部前面の打撲で誤っているのはどれか。
選択肢
1 コンタクトスポーツで多くみられる。
2 初期は膝関節屈曲位で固定する。
3 受傷後 24時間を経過したら温熱療法が有効である。
4 疼痛増悪時は医師に診断を仰ぐ。
解答
正解3(受傷後 24時間を経過したら温熱療法が有効である。)
解説

この設問は「誤っているもの」を選びます。受傷から24時間ではまだ出血が落ち着いておらず、時間だけを目安に温熱へ切り替えるのは適切ではありません。答えは3です。

大腿部前面の打撲は、大腿四頭筋の内部で出血が起こる損傷です。急性期に温めたり強く揉んだり、無理に伸ばしたりすると血腫が広がり、その血腫の中に骨組織が作られる骨化性筋炎へ進むことがあります。急性期は冷却・圧迫・挙上を行い、膝を屈曲させて大腿四頭筋を軽く伸張した肢位で固定します。温熱や愛護的な可動域訓練へ進むかどうかは、「24時間経ったか」ではなく、熱感・拍動痛・腫脹の増大が収まったことを確かめてから判断します。硬結が日を追って大きくなる、痛みが強まる、膝の屈曲角度がむしろ減ってくるといった変化があれば、骨化性筋炎やコンパートメント症候群を念頭に、画像評価のため医師へつなぎます。

✓ 3. これが誤り(設問の答え)
受傷後 24時間を経過したら温熱療法が有効である。
24時間という時間だけを基準にはできません。この時期はまだ出血や炎症が続いていることが多く、温熱は血腫の増大や骨化性筋炎を招くおそれがあります。熱感・腫脹の増大が止まったことを確認してから温熱や可動域訓練へ移行します。
✗ 1. 記述は正しい(答えではない)
コンタクトスポーツで多くみられる。
ラグビー、アメリカンフットボール、サッカー、柔道などで、相手の膝や肩が大腿前面に当たって起こる典型的な損傷です。
✗ 2. 記述は正しい(答えではない)
初期は膝関節屈曲位で固定する。
膝屈曲位は大腿四頭筋を軽度伸張位に置く肢位です。筋内の血腫の広がりを抑えると同時に、あとで膝が曲がらなくなる(屈曲制限が残る)ことを防ぐ意味があります。
✗ 4. 記述は正しい(答えではない)
疼痛増悪時は医師に診断を仰ぐ。
痛みが強まる場合はコンパートメント症候群や骨化性筋炎の可能性があります。しびれ、緊満感、足趾の他動伸張時痛などを確認し、速やかに医師へつなぎます。
ポイント
  • 急性期は冷却・圧迫・挙上。膝屈曲位固定で四頭筋を軽く伸張し、血腫の拡大と屈曲制限を防ぐ。
  • 温熱・マッサージ・強い伸張は、熱感と腫脹の増大が収まってから。時間ではなく所見で判断する。
  • 最も避けたい合併症は骨化性筋炎。硬結の増大、痛みの増強、屈曲角度の低下がサイン。
  • 緊満感、しびれ、足趾の他動伸張時痛があればコンパートメント症候群を疑い、直ちに医師へ。
  • 復帰は痛みなく膝屈曲角度が回復し、四頭筋の筋力が戻ってから段階的に進める。
比較表
時期目標行うこと避けること
急性期(熱感・腫脹が進行中)出血と腫脹の抑制冷却・圧迫・挙上、膝屈曲位固定温熱、マッサージ、強い伸張
回復期(熱感・腫脹が収束後)可動域と筋力の回復温熱、愛護的な可動域訓練、等尺性収縮から開始痛みを押して行う強い他動伸張
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