学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §22 各論(軟部組織損傷) 上肢 / QJ27P095

理由で解く 柔道整復師

QJ27P095 柔道整復理論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問95
問題
末梢神経障害と症状の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 前骨間神経麻痺母指球筋の萎縮
2 後骨間神経麻痺ティアドロップアウトライン
3 肘部管症候群・フローマンサイン
4 円回内筋症候群骨間筋の萎縮
解答
正解3(肘部管症候群・フローマンサイン)
解説

フローマン徴候は母指内転筋の麻痺をみる所見で、尺骨神経障害である肘部管症候群と組み合わさります。正しいのは3です。

前腕から手の絞扼性神経障害は、「どの枝が、どの筋を支配し、どこの感覚を担うか」で仕分けると混乱しません。前骨間神経と後骨間神経はいずれも純粋な運動枝で、感覚障害を出さないのが大きな手がかりです。前骨間神経は長母指屈筋・示指の深指屈筋・方形回内筋を支配し、麻痺すると母指IP関節と示指DIP関節が曲げられず、丸を作らせると涙のしずくのような形になります(ティアドロップサイン)。後骨間神経が麻痺すると手指MP関節を伸展できない下垂指となり、手関節の背屈は保たれます。尺骨神経は骨間筋・母指内転筋・尺側の虫様筋といった手内在筋を支配するので、肘部管などで絞扼されると鷲手、骨間筋の萎縮、そしてフローマン徴候が現れます。母指球筋の萎縮と正中神経領域の感覚障害がそろうなら、手根管症候群や円回内筋症候群といった正中神経本幹の障害を考えます。

✓ 3. 正しい
肘部管症候群・フローマンサイン
肘部管症候群は尺骨神経の絞扼です。母指内転筋が麻痺するため、紙を母指と示指ではさませると長母指屈筋で代償し、母指IP関節が屈曲してしまいます。これがフローマン徴候です。
✗ 1. 誤り
前骨間神経麻痺母指球筋の萎縮
前骨間神経は純粋な運動枝で母指球筋を支配しません。母指球筋の萎縮は正中神経本幹の障害(手根管症候群など)の所見です。前骨間神経麻痺で見るべきはティアドロップサインです。
✗ 2. 誤り
後骨間神経麻痺ティアドロップアウトライン
ティアドロップの所見は前骨間神経麻痺のものです。後骨間神経麻痺では手指MP関節が伸展できない下垂指となり、手関節背屈は保たれ(背屈時にやや橈屈する)、感覚障害はありません。
✗ 4. 誤り
円回内筋症候群骨間筋の萎縮
円回内筋症候群は円回内筋の二頭の間で正中神経が絞扼される病態で、母指球筋の萎縮と正中神経領域の感覚障害が出ます。骨間筋の萎縮は尺骨神経麻痺の所見です。
ポイント
  • 前骨間神経・後骨間神経はともに純運動枝=感覚障害なし。これが最初のふるい分け。
  • 前骨間神経麻痺=母指IPと示指DIPが曲がらない=ティアドロップサイン(丸が作れない)。
  • 後骨間神経麻痺=下垂指(MP伸展不能)。手関節背屈は可能。
  • 尺骨神経麻痺=手内在筋の障害=鷲手・骨間筋萎縮・フローマン徴候。肘部管、尺骨神経管が絞扼部位。
  • 母指球筋萎縮+正中神経領域の感覚障害=正中神経本幹(手根管症候群、円回内筋症候群)。
比較表
障害神経代表的な所見感覚障害
前骨間神経麻痺正中神経の運動枝ティアドロップサイン(母指IP・示指DIPが曲がらない)なし
後骨間神経麻痺橈骨神経の運動枝下垂指(MP伸展不能)、手関節背屈は可能なし
肘部管症候群尺骨神経フローマン徴候、鷲手、骨間筋萎縮環指尺側・小指
円回内筋症候群正中神経本幹母指球筋の萎縮、前腕回内で症状増悪母指〜環指橈側
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